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完成したカレーはヨウイチの技術によりレトルトパウチされた。

「これで、旅に出てもカレーがなくなって困ることはないね〜。」

そんなカオルの言葉に、ヨウイチは『ある意味、もう願い叶っちゃってんじゃん』と呆れ返っていたが、決して口には出さなかった。

レーダーを取り出し、今いる場所から一番近いボールの在処を確認する。

「ここから南の方角、か。」
ヨウイチは腰のポーチからカプセルを取り出し、道に向かって投げた。

カプセルはボンっという音を立てて大きな車に変化した。

「う〜わっ!すっご〜い!何これ?!」
カオルは目を白黒して車を指でツンツンと突いた。

「車だよ。さぁ乗って乗って。」
「はいは〜い!」
「じゃ、出発。」

 

“♪め〜ろでぃ〜ず、はた〜ちの頃〜聴いた〜歌を〜、空へ〜逃が〜しな〜がら〜アクセ〜ル〜ぅをぉ〜”

そんな曲をBGMに南へと車を走らせるヨウイチとカオルであったが、まだ二十歳にはなっていなかった。

「あ・・・海だ・・・」
レーダーはまだ南をの方向を指しているが、目の前に広がる大きな海に行く手を妨げられた。

「どうするの?」
「大丈夫。この車、水陸両用車だから。」
ヨウイチは自慢げにそう言うと、波打ち際まで車を進め、ハンドルの横にあるスイッチを押した。

スルスルスルと海へと滑り出した車は、海面に浮かび前へと進み始めた。

「すごい!水陸両用車なんて、『びっくり日本新記録』以来だよ!」
「あっそ・・・」


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