「あっ、アンタだけ叶うなんてずっこいじゃないかっ!」
ユウジが慌ててその後を追い、ドアの外へ出た。
「あっ!ユウジさん!ファンです!握手してくださいっ!」
ユウジの前に綺麗な女性が歩み寄る。
「あっ!へっ!?いや、ちょ、待って・・・」
女性はユウジの心の準備も済まないうちに一方的に手を握り、ブンブンと上下に振った。
「ありがとうございました!これからも応援してます!頑張ってくださいね☆」
「はぁ・・・どうも・・・」
バタン。
ユウジが放心状態で部屋に戻ってきた。
「どうしたの?今度は何?」
「女の人に・・・いきなり握手されたけど平気でした・・・はは・・・」
「わぁ〜!よかったね〜ユウジ!」
ユタカがユウジの手を握り、ピョンピョンと飛び跳ねて自分のことのように喜んだ。
「いいなぁ・・・オレらは何もないなぁ・・・」
「ホントだね・・・」
コンコン。
ドアがノックされる。
「は〜い。」
カオルが返事をすると、スーツを着た男性が部屋に入ってきた。
「おはようございます。」
「・・・おはようございます?」
男性はカオルに近づき、手帳を広げた。
「この後、カレーの取材がありますのでよろしくお願いしますね。」
「えっ!?カレー?!食べたい食べたい!」
「ははっ、うれしそうですね。」
「えへへ〜♪」
うれしそうに笑うカオルに、一方浮かぬ顔のヨウイチ。
「僕だけ何も叶ってない・・・」
「ヨウイチもなんか叶ってるんじゃない?4人とも叶ってるんだもん。」