「・・・ここ、どこ?」
一番最初に目覚めたのは、ユタカだった。
ユタカは立ち上がって周りを見渡した。
先ほどのイナバ物置の中ではなく、どこかの一室のようだった。
ユウジと他の3人はまだ眠ったままだ。
壁に貼られた大きな鏡には、立ち尽くす男がひとり。
「ん?あれ誰・・・っていうかボク?!」
ユタカは鏡に顔を近づけた。
「やった!人間になってる!しかも可愛い!わ〜い!叶った〜!」
ピョンピョンと飛び跳ねて喜ぶユタカの声に他の4人も目覚めた。
「うっせーなぁ、チビ。どこのどいつだよテメェ。」
「ボクだよボク!わかんない?物置にいたじゃん!」
「・・・あぁ!あの猫みてぇなヤツか!」
「すごいねぇ〜、叶ったよ〜☆」
「・・・俺の・・・綺麗なオネェチャンいねぇぞ・・・?」
「もしかして彼の願いしか叶わなかったんじゃないの?」
ヨウイチが横から口を挟む。
「はぁ?そんな不公平な話あるかよ?」
「だって願いは1つしか叶わないんだもん。」
「何だとヨウイチっ!俺は1つしか叶わないなんて聞いてねぇぞ!」
「神龍が言ってたじゃん、“1つ”って。」
「テメェ・・・騙しやがったな・・・」
「さぁてね。」
「オレのカレー・・・しかも熊カレーもなくなってる・・・死にたい・・・」
「うぉ〜〜っ、俺は一生女性恐怖症のままかっ!」
「アホくさ・・・厠にでも行くかな。どこだ?」
テツヤはこの部屋に設けられているドアを押し開けた。
「きゃぁ〜〜っ、てぇつぅ〜〜!」
遠くから若い女性数十人がドアに向かって凄まじい勢いで突進してきた。
バタン。
慌ててドアを閉めるてつや。
「どうしたの?今の何?」
「外に・・・いっぱいオンナが・・・」
「それさぁ、叶ってるんじゃないの?」
「マジかっ!叶ったのか!ぃやっほ〜〜いっ!」
テツヤは部屋から飛び出して行った。