「はい、ここ。実家だよ。」
「あっ、お邪魔いたします・・・」
ユタカの実家はかなりの豪邸であった。
妖怪って裕福なのか?それともこいつの家が別格なのか?
ユウジはそんなことを思いながら、ユタカに案内され邸内を進んでいった。
「はい、これがイナバ物置だよ。」
「・・・なぁ、ユタカ。」
「ん〜?」
「蔵があるような豪邸なのに何故にイナバ物置があるんだ?」
「ホントに『100人乗っても大丈夫』なのか実験したかったから買って、友達100人集めてみんなで人間に変身して上に乗ったんだよ。
ホントに100人乗っても大丈夫だったよ。」
「いろんな意味でスケールのでっかい話だな・・・」
「そう?」
「うん・・・」
「じゃ、開けるよ〜。」
ガラガラと物置の扉を開けた。
中にはサッカーボールや金属バット、バドミントンのラケットなど、ユタカが子供の頃に遊んでいた道具などが所狭しと並べていた。
「あ!ガンプラ!懐かしい〜っ!」
ユウジが目を輝かせてガンダムのプラモデルの箱を眺めている。
「じゃ〜ん☆見てこれ〜」
「出た!キン消しじゃん! ♪リ〜ング〜にぃ〜」
「あと、ビックリマンシールとかもあるよ。」
「うわマジかっ!」
「ちょっと待って。ここにドラム型の延長コードあるから、母屋から電気引いてくるよ。
いらなくなったテレビもあるし、あとで一緒にPCエンジンやろうよ。」
「PCエンジンもあるんかっ!」
「ファミコンとディスクシステム、スーファミもあるよ。やる?」
「やる!とりあえず古めのをやりたい!どんなソフトある?」
「ん〜?ファミコンだったら『アイスクライマー』とか『クルクルランド』とか?」
「やる!!絶対やる!!」
「わかった〜。今から準備するからそこの『キャプテン翼』でも読んで待ってて〜。」
ユウジとユタカは本来の目的を忘れ、イナバの物置の中のお宝の世界へとのめり込んでいった。