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室内にいた背の高い男が立ち上がった。

「ちょっくら厠(かわや)へ行ってくるわ。」
「厠って・・・トイレって言えばいいのに・・・」
「コレあったらやりにくいから、預かっといてくれ。ほいっ。」

背の高い男は股間からオレンジ色のボールを取り出すと、ひょいっと投げた。
それを背の低い少年がノーバン(ノーバウンド)でキャッチした。

「うわっ投げた!っていうか受けた!」
「へぇ〜、これが人肌の温かさなのかぁ〜。」
「君たちふたり、頭おかしいんじゃないの・・・?」

「あ・・・」
窓の外にいるユタカは、そのボールを見て声を上げた。

「あのボール、ボクも持ってるよ?」
「なぁ〜にぃ〜〜っ?!」
「今ここにはないけど実家のイナバ物置の中にね。」
「何ちゅう保管方法じゃ!」
「だってただのボールだと思って、子供の頃仲間とそれ蹴って遊んでたんだもん。」
「お前んち、ここから北の方だったな?」
「うん、そうだけど?」
「あいつらは東から西へと走っていた。ということは、近い方のボールがここから西の方向。
遠い方のボールがお前んちのイナバの物置の中ってことだ。
俺たちが先にイナバの物置に向かって待っていれば、そのうち敵の方からボールを4つ持って現れるんじゃないか?
そこでボールが5つになる。願いが叶う。バンザーイ。・・・とこういう流れになるな。」
「なるほど〜。」
「じゃ、行くぞ。」

ユウジとユタカはその場を離れ、イナバ物置に向かって出発した。


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