ユタタンを買い始めて約1週間。
北山と一緒に公園へ散歩に行くことになった。
もちろん、ユタタンとカオちゃんを連れて、だ。
北山が勤める店の前で待ち合わせし、カッパの飼い主が集まることで知られている町の公園へ向かう。
公園の中にはすでに数人の飼い主たちが輪になって談笑していた。
カッパたちはその脇で群れて遊んでいる。
「は、初めまして〜・・・。」
緊張しながら先客に挨拶をする。
俗に言う『公園デビュー』ってこういう感覚なのだろうか。
北山はこの町に唯一あるペットショップに勤めているだけあって、飼い主たちと面識もある。
おかげで俺もその輪の中にすんなりと溶け込めた。
「あ!そろそろ来る時間だ!」
公園の時計の方を向いて立っていたひとりの飼い主が皆に知らせた。
「え?何が来るんですか?」
北山がその飼い主にすかさず質問をする。
「この公園に、いっつもこの時間になるとオトナのカッパが来るんですよ・・・」
「しかも飼い主なしで放し飼い状態で・・・」
「それがすごく恐くてねぇ〜・・・」
「近寄ったら投げ飛ばされるとか・・・」
「尻子玉を抜かれるとか・・・」
飼い主たちは口々にそんなようなことを言い、「さ、帰りましょ。」と蜘蛛の子を散らすように帰って行ってしまった。
「いったい何なんだ・・・?」
「逃げるように帰っちゃいましたね・・・」
「なんだかよくわかんないけど俺たちも帰るとする・・・」
と、俺が言っている最中、公園の出入口から俺の同じぐらいの身長の、大きなカッパが現れた。
「・・・あ・・・あれなのか・・・?」
そのカッパは、やけにガタイがよく、黒いサングラスをかけ、ものすごくイカつい風貌をしていた。
飼い主たちが言ってるとおり、相当恐い。