「・・・さっきから何モメてんの?」
そこへ現れたのはキジ。
冷静沈着な様子で犬と猿の間に割って入ってくれました。
「あの〜、俺、桃太郎っていうんだけど、鬼ヶ島への行き方わかんなかったんだけど、犬さんに教えてもらってたんだけど、お礼にあげたカレーパンを猿さんと取り合いになったんだけど、仲直りしてほしかったから猿さんにもあげたんだけど、猿さんが何もしてないのにカレーパンGetしたことがどうやら犬さんのお気に召さなかったらしくて〜・・・」
桃太郎は、『んだけど』を5回も駆使して、そして句点を使用せず、キジに一気に説明をしました。
キジは頭の回転が早く、そういう理解しがたい日本語も難なく解読しました。
「なんだ。そんなこと。僕が連れていってあげるよ。この2匹はここに置いていけば?」
「ホぉント〜?!じゃ、これ、お礼のカレーパン。」
「あ、僕カレーパン食べれないんだ。ミンチ入ってるんでしょ?」
「うん、入ってる。」
「食べれないからお礼はいいよ。君が食べたらいい。」
「さすがキジさん!お礼なしでも案内してくれるんだね〜♪」
ぎくっ。
なんだか存在自体を否定されたようになってしまった犬と猿。
キジにかっこいいところを持って行かれて、メンツ丸潰れです。
「ぼ、ボクもついてってあげるよ!」
「何だよお前っ!・・・俺も・・・行ってやるよ・・・。」
そんなこんなで桃太郎は余ったカレーパンを食べながら、犬・猿・キジの先導のもと、鬼ヶ島へ向かいます。
「♪めんめんめがねのよいめがね〜」
1人+3匹でメガネドラッグのCMソングをハモりながら、無事鬼ヶ島に着。
「なぁ、こんなとこに何の用事があんだよ?」
「なんかさぁ、鬼退治に行けって言われちゃってさ〜、渋々・・・」
「え?!何それ聞いてない!」
驚く犬・猿・キジ。
それも無理はありません。
なんせ桃太郎は一度だって鬼退治に行くなんて言わなかったんですもの。
「ちょっと!話が違うじゃん!ボク、帰る!」
「俺も帰るぞ!」
「・・・(鬼、ちょっとナマで見たいかも)」