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「悪ぃ子゛は いね゛ぇがぁ〜!!」
と、そこへ突如として現れた大きな大きな鬼。超ド迫力です。
「もうダメだ!」
4人はそう思いました。
しかし、鬼は襲っては来ず、意外にも、桃太郎が手にしていたカレーパンに反応を示しました。
「うわぁ〜!おいしそうなパンですねぇ〜!」
“お前はグルメレポーターか!”とツッコみそうになるのをグッと堪えます。
「あ、君の分ないや。ごめんねぇ〜。」
「え〜ん!ひどいやひどいや〜!」
鬼、号泣。
鬼の目にも涙ってやつでしょうか。
鬼は菓子パンが好きで好きでたまらなかったようです。

「あ〜、ごめんごめん。じゃ、さ、俺が作ってあげるよ〜。」
桃太郎は犬に手伝ってもらって、鬼が持っていたうどん用の強力粉と食塩を練りました。
その間、猿とキジにはキャンプファイヤー風に火を起こしてもらいました。
大きな鬼がフウッと息を吹きかけると、火は簡単に大きくなりました。

桃太郎と犬は、できた生地(キジではありません)を竹の棒に巻きつけ、火の周りの地面に差しました。
そして火の近くに平たい石を置き、その上でナンを焼きました。
さらにその横でベジタブルカレーを作りました。
肉と牛乳と卵を使わなかったのはキジへの配慮です。

「はい、できたよ〜。」
「いただきま〜す。」
みんなで出来上がったカレーと竹パンとナンを食べました。
すごくおいしくてみんなモリモリ食べています。

「ねぇ、何で鬼は退治されなきゃならないの?」
桃太郎はパンをかじりながら、鬼に聞きました。
「さぁなぁ。特に悪いことはしてないんだがな。時々人間がやってきては襲ってくるけど、その時はやっつけるぞ。正当防衛だ。
やっつけたら、また次のヤツが来るんだよな。『○○の仇〜!』とか言って。ホント勘弁してほしいのだがな。」
「へぇ〜、苦労してらっしゃるんですね〜。」
「そういうあなたこそ、なぜ鬼退治へ?」
「働かないでゴロゴロしてたら家追い出されちゃって〜、鬼退治行け〜、って無理矢理〜。帰る家もなくてね〜。」
「へぇ〜、そんなに料理がうまいのに無職とはもったいない。ウチに住み込みで働けばいいのに。」
「ホぉント〜?いいの〜?!」
「ああ、もちろん。ウチの店の先代がもうすぐ引退するのだが、後釜がいなくて困っていたところだ。」
「やった〜!仕事と家が同時に見つかった〜!よろしくお願いします!」
「こちらこそ〜。」

“何だこのトーク・・・”
犬・猿・キジは呆気にとられています。

「君たちも時々食べに来ればいい。俺はそこの『鬼洋軒』っていうレストランのオーナーをやってるんでね。」
「え?『鬼洋軒』って、予約のとれないことで有名なあのレストランかよ?」
「ええ、先代は料理の腕は一流ですが、俺はからっきしダメでね。店の経営の方を中心にやらせてもらっているんですよ。」
「へぇ〜。」
最初は呆れていた3人もすっかり感心していました。

そんなこんなで、桃太郎は鬼ヶ島に残って料理人になりました。
『鬼洋軒』の大きな大きなキッチンで、標準サイズより少々ちっちゃめの桃太郎は楽しく働きました。
時々、3匹が遊びに来ました。
桃太郎の働く様子を見て、3匹は「お前は『レミーのおいしいレストラン』か!」と言わずにはいられませんでしたとさ。

 

おしマイケル(死語)


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