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が、あと10分で到着といった地点でいきなり列車が急ブレーキをかけ、けたたましい音を発しながらガクンと止まった。

「あ〜!びっくりしたぁ!」
「何事だ、一体・・・」
「止まり方が尋常じゃないよ。」

パニックに陥った車内アナウンスが流れる。

『大きな崖崩れで鉄橋が落ちてしまったらしく、これ以上先に進めません!
復旧のメドも立ちませんので乗客のみなさまはここで降車してください!』

「え〜〜〜!!」
ハモる乗客。無理もない。

なぜなら、今は夜の8時。
しかも、川を渡ってすぐのところには街が広がっているのだが、現在停車している橋の手前は深い森の中だからだ。

「こんな時間に明かりもなければ店も宿も何もないとこに降ろされたら、ケモノの餌になっちまうじゃないか!」
「俺らを降ろしてお前らはどうするつもりだ?!」
乗客が口々に叫ぶ。

『私どもは出発駅まで引き返します。』
客の声が聞こえたのか、車掌はアナウンスで返答している。

「出発駅・・・1日半かけてまた戻るのか・・・それも大変だな、車掌・・・」
『そうなんすよね・・・いくら復旧のメドが立たないからと言っても、折り返し運転はしないといけないですからね。
この車両も折り返し運転に使うので〜・・・』
乗務員も、今後のダイヤのために不眠不休でスタート地点へ戻らないといけないということにショックを隠しきれない。


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