過酷なリハビリを重ねたカオルと鎧姿のユウジは、元の体を取り返すために必要とされる『賢者の石』を探す旅に出たのであった。
「♪い〜つか憧〜れた〜伝説は〜、物語じゃつまら〜ないぃ〜」
「アンタがリード歌うと違和感あるね・・・」
「ん?そうかなぁ?」
ふたりで道なき道を分け入る・・・なんてことはなく、ドラマ「高校教師」のラストシーンのように列車のシートにふたり並んで座って快適な旅。
窓際に置かれた冷凍ミカンは、旅に欠かせないアイテムだ。
「この列車のどこかにメーテルいないかなぁ。」
「アンタ、自分の身長よりデカいオンナ好きだね。」
「ゆ、ユウジくん、ひどいっ、ひどいよっ・・・」
「泣くのなら俺の胸でお泣き。」
「・・・それ何キャラ?」
「一応、一昔前の男前をイメージしてみた。」
「ぷっ・・・似合わないっ」
「笑ったな?機械鎧へし折ったる〜!」
そんなバカ話をしていると、後ろの席から声がした。
「ぶっ壊したらタダじゃすまねぇぞコラ・・・」
「ヨウイチ?!」
「しかもキャラ変わってる!・・・っていうか、なんでいるのよアンタ・・・」
「ん?だってこの人すぐに機械鎧壊すでしょ?ボクが同行する方がいいと思ってね。」
ヨウイチはカオルを指差しながら言った。
「指差すなよ〜!噛むよ?その指〜。」
「俺らのためにっていう割には、首から下げたカメラが気になるんだが。完璧に『おのぼりさん』じゃないか、それ。」
「んまぁ、ね。それに都会に出たらウチの町にないような部品いっぱい売ってるからね、それも見処のひとつだね。」
「そんなとこだろうと思ったよ〜。」
そんなこんなで、兄弟プラス1名は、この世界の中央へと向かっていった。