「さっきはウチのドラキュラが噛んじゃってごめんね。今から輸血するから。」
さっきの男の子が、めちゃくちゃ冷静に言う。
「いやいや!輸血って!誰が針刺すの?!」
「僕。」
「えぇっ?!い、いらない・・・」
「大丈夫だよ。慣れてるし、針も新品だし、ちゃんと消毒するし、ちゃんと人間の血だし、使用期限切れてないし。」
「なら安心だね・・・ってちょっと待て!てっちゃんって人(?)に輸血用の血飲ませたらいいだろ!」
「お前わかってねぇなぁ!人肌がいいんだよ!ぬるめの燗がいいんだよ!」
「八代亜紀!?」
「輸血用のやつはうまくねぇんだよ。電子レンジでチンするだけでできるクリームコロッケみたいなもんだな。
クリームコロッケってさ、表示された時間をチンしただけだったら中が冷てぇし、触って『あ、冷てぇ』と思って10秒20秒追加でまわしたら今度破裂しちまうだろ?
輸血用のやつも、そのままじゃ冷てぇし、温め過ぎると凝固しちまうし、加減が難しいんだぜ?試しに輸血用飲んでみるか?」
「いらないって!説明が長いって!そんなのどうでもいいから早く輸血してよ!」
あ〜!この人(?)たちと話しているとイライラする!イライラ棒だ!
『炎のチャレンジャー この人(?)たちと話して、キレなかったら100万円』だ!
「イライラしないでいいよ。深呼吸深呼吸。ひ〜ひ〜ふ〜。」
「ラマーズ法じゃん!」
「うそうそ。冗談だよ。何型?」
「血液ガッタガタ。」
今まで黙ってた雄二って人(?)がいきなりワケのわからないことを言った。
「ね、おもしろいでしょ?だから直してないんだよ。」
「フンガー!」
雄二って人(?)、怒りすぎてオーバーヒートしてる。
「この人(?)、こんなに怒ってばっかりで壊れない?」
ボクは心配になって男の子に聞いた。
「ん?週に1回ぐらいのペースで『KURE 5‐56』をスプレーするだけでメンテOKなんだ。」
「簡単すぎ!・・・っていうか、輸血のクダリから全然話が前に進んでないんだけど!」
「ホントだ。じゃ、仕切り直し。血液型は?」
「・・・Bだよ。」
男の子は血の入った透明なレトルトっぽい袋と点滴の管と針みたいなのを持って帰ってきた。