「はい、完成です!うわぁ、お似合いですよ、王様!」
機織り職人のふたりは胸の前でパチパチパチと拍手しました。
「・・・そう、か?」
「うん、サイズもちょうどいいし、すっごく似合ってるよ〜?」
大臣にいたっては真剣な面持ちで感心しています。
「・・・ま、俺だから着こなせるっていうのはあるわな。」
王様は3人の意見にいまだ半信半疑でしたが、自分だけ見えてないことがバレてはまずいということでテキトーに話を合わせました。
「王様。今日は、隣国の“王子様”の誕生日があります。そろそろ出発の時間です。」
「・・・ふぅん・・・じゃ、行くか・・・」
王様は、しっくりいかないまま、出発に向け準備を始めました。
その間に、大臣は王様より先に城外に出て、王様を一目見ようと詰めかけた民衆の前で演説しました。
「おっほん!(咳払)今日の王様のお召し物は、世にも珍しい『クオリティの高い人間にしか見えない不思議な服』なのでR。(←嵐山光三郎的語尾)
この服が見える者は、クオリティ高い人間』ということになるのでR。」
大臣のアオリに、民衆は「おぉ〜!!」と感心の声を上げました。
民衆も、王様の服が気になって気になって仕方ありません。
ボルテージは最高潮。
「♪お〜ぅさまっ、おぅっ!お〜ぅさまっ、おぅっ!(←鶴田コールの要領で)」と『王様コール』の鳴り響く中、城の大きな大きな門がついに開きました。
王様の登場に、城門からまっすぐに伸びるレッドカーペットの左右に陣取っていた民衆の歓声が地鳴りのように巻き上がりました。
(ちなみにこのカーペットは下手から上手にベルトコンベアのように動きません。)
「王様オっシャレ〜!」
「王様最高っす!輝いてるっす!王様は俺らの希望の星っす!」
「王様カッコイイ!(オリラジ風味)」
「王様!ナイスポ〜ズで〜す!バリバリきれてま〜す!(ボディビル的賛美)」
「王様!ヒュ〜ヒュ〜だよ〜!(懐かしの牧瀬里穂パターン)」
レッドカーペットの上を進む王様に、左右からたくさんの褒めコトバが飛びます。
これには、さっきまで不安顔だった王様もさすがにゴキゲンになりました。