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しかし、この機織り職人のセールストークはまだまだ続きました。

「なんとこちらの商品、鶴が障子の向こうに籠って羽根で織ったとまでウワサされている『天女の羽衣』でございます。」
「・・・なんか、それいろいろ混ぜこぜじゃね?」
「世界中探してもこれひとつしかない、いわゆる『イッテンモノ』ってヤツですよ!『今こそ、買い!』でしょう!ここで買わなきゃオトコがすたりますぜ、旦那ぁ!」
「王様、ここをご覧ください。今回特別に、本場・堺の職人さんが家紋を入れております。」
「それもアレコレ混ぜこぜじゃね?」
「この辺の装飾とか、ほら、王様よく見てくださいよぅっ!こういう手法っていうのをできる職人さんっていうのは、世界で3本の指が入る・・・」
「『3本の指が入る』って、それナイツのネタだろそれ!」

王様は困り果てました。
見えないモノをしつこく勧められてどうすりゃいいんだ、ってカンジです。
王様は困ったあげくに信頼のおける大臣を呼びました。

さてこの大臣、実は「かわいい顔して、実は・・・」という、見た目と中身のギャップがすさまじすぎる男でした。

「『クオリティの高い人間にしか見えない不思議な服』だとよ。お前どう思う?」
「うわぁ!すっごいなぁこの服!最高じゃん!ほら、この辺のテラテラしたカンジのデザインなんか、王様が好きそうなカンジだよね!」

大臣は、目をキラキラさせて感動しています。

「・・・もしかして見えてねぇの俺だけ・・・?」

王様は不安になりました。
『俺には見えてない』→『俺以外みんな見えてるって言う』→『ってコトは何か?俺だけクオリティ高くねぇみたいじゃね?』
・・・ということになってしまうからです。

負けず嫌いの王様は、「自分だけ見えねぇとかありえねぇ」という思いから、話を合わせることにしました。

「・・・ま、そこそこいいんじゃねぇの?」
「じゃ、早速試着してみますか?こちら、フィッティングルームもご用意しております。」

職人たちの背後には、伝説のバラエティ番組「スーパージョッキー」の熱湯コマーシャルのナマ着替えに使うような簡易のフィッティングルームが用意されていました。
なかなか用意周到ですね!つか、どこに発注したんだそれ!

「どうぞどうぞどうぞ。」

ダチョウの竜ちゃんのように勧められた王様は、若干納得いってないままフィッティングルームに入りました。

さぁ、みなさんお待ちかねの『ナマ着替え』ですよ!どうですかお客さん!(俺っちも猪木のマネ)

機織り職人は、羅生門の追い剥ぎよろしく、王様をあれよあれよという間にハダカんぼうにしてしまいました。(残念ながら下着は無事←?)

「は〜い、袖通しますよ〜!」
「はい、ボタン留めます。」

とはいうものの、全っ然 装着感的なものもありません。
王様に服を着せるふたりの動きは、まるでパントマイムみたい。TVチャンピオンでおなじみの中村有二じゃあるまいし、ってカンジでした。


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