『は〜い。カオルくんのカラダの中に入り込んでみました。』
「なんだよ〜、許可なく入るなよ〜。」
『減るものじゃないからいいじゃない。』
「そういう問題?ぷらいばしーのしんがいだよ!」
『じゃ、その碁盤と石持って。誰かと対局してみよう。』
「う〜ん・・・仕方ないなぁ。」
ボクは渋々碁盤っていうのと石っていうのを持って、屋根裏を後にした。
「お、カオル。また珍しいもん持って何やってるんだ?」
じいちゃんが声をかけてきた。
「じいちゃんさぁ、これできる?」
「お!五目並べじゃないかぁ!懐かしいなぁ!」
『カオル・・・この人は駄目です。次、行きましょう。』
「あ、じいちゃんはダメなんだってさ〜。またね〜。」
「だ、駄目・・・?俺の何が駄目なんだぁ〜〜!」
じいちゃん、ショック受けてるみたい。
ま、いっか。
「じいちゃんにこれあげる。じゃ、ちょっと出かけてくるね〜。」
じいちゃんに碁盤と石を渡して外に出た。
「こんな時代に囲碁なんてやってる人いないんじゃないの?」
『・・・そうなの?』
「たぶんお相撲さんぐらいじゃないの?お正月にテレビでやってるの、見たもん。
今は囲碁より“大人のDSトレーニング”の時代だよ。」
『・・・』
「・・・もしかして落ち込んでる??」
『・・・うん。かなりね・・・』
「あっ、でもほら、やってる人きっといると思うよ〜。うん。」
しょんぼりする陽一を必死に応援した。
『・・・だといいけど・・・』