←BACK


さらに王様はとんでもない提案をしました。

「あ、そうだ。君も一緒に旅行、ついてきたら?」
「え、あ、ま、マジっすか?!」
「うん、マジマジ。」
「あっ、じゃあ・・・お願いします。」

トントン拍子で、三男と猫は王様御一行と同行することにあいなりました。

「お前・・・またおかしなことを画策してるな。」
「別に?」

三男の問いかけに、猫は例の女優のような口ぶりで答えました。

「俺と王様の前とでキャラ違いすぎじゃないか・・・?」
「そんなことは今どうでもいいから。おとなしく同行しといてね。」
「・・・・・・」

猫は三男にそう言い残し、一行を先導するポジションにつきました。

猫は一行の先頭を進みながら、辺りの畑や牧場で働く人々を片っ端から捕まえて「王様に話を聞かれたら、『ここはゴス侯爵の領地だ』と言ってくださいね。」と頼み込みました。

実はこの領土、オーガという恐〜い怪物の支配下にあったのです。
しかしオーガは、金品を強奪したり租庸調(そようちょう)的な悪税を課したり、とにかくそのムチャクチャなやり方でこの界隈を支配していました。
その悪政は、朝日新聞の天声人語でもたびたび批評のネタとされるほどひどいものでした。

そんな状況下で、人々はすっかり希望を失っていました。
弱り目に祟り目といいますか、猫がチラッと鋭い爪を見せコーホーコーホー言いながら命令したものですから、人々は皆すっかり震え上がってウンウンと頷きました。


→NEXT

→キッズTOP