その後も野ウサギを捕まえては王様の元へ向かい献上を繰り返し、王様の絶対的信頼を得たある日のこと。
猫は王様が旅に出るという話を耳にしました。
地図を見ながら王様の通る道と通過タイムを緻密な計算で叩き出した猫は、三男を連れて王様の通る道に先回りし、そこでしばらく待機しました。
そして腕時計を見て大きく頷くと、三男に「さ、早くここで服を脱いで。」と言いました。
「はぁ?何バカなこと言ってんだ?!野外で白昼堂々ハダカになったら公然猥褻罪で警察にしょっぴかれるじゃないか!」
「いいから早く脱ぐっ!」
「あっ!あ、な、何をすっ・・・いや〜ん☆」
あれよあれよという間に猫に身ぐるみ剥がれた三男。
息つくヒマもなくシャイニングウィザードを食らい、そばにあった池にボチャンと蹴落とされてしまいました。ぼっちゃんだけに(駄)
「こらっ!お前っ、な、何をするんじゃい!!」
「し〜っ、静かに。君は黙ってそこにいればいいから。」
「黙って、ったってだなぁ!」
「静かにしないとこの爪で引っ掻くよ?」
猫はウォーズマンのように鋭い爪を出し、さらに目を光らせコーホーコーホー言ってるものですから、三男は恐怖のあまりすっかり震え上がってしまいました。
「・・・はひ・・・わ、わかりまし、た・・・」
三男は、仕方なく猫の命令に従うことにしました。
三男が素直に言うことを聞くようになったのを確認した猫は、三男が着ていたみすぼらしい服をどこかへ隠しました。
猫の行動が全く理解できない様子の三男が身を置く池の脇を、シンデレラに出てきそうな、いかにも高級そうな馬車が通りかかりました。
その前に猫が立ちはだかります。
「すいません!助けてください!」
猫が突然飛び出してきたものですから、馬車を操っていた男も馬車を牽く馬もビックリです。
「何だお前は!ヤング王国の国王が乗る馬車と知ってのことか!」
運転手(?)が猫を怒鳴りつけていると、馬車の扉が開きました。
「ナニゴト〜?騒がしいなぁ〜。」
王様が目を擦って、大きなアクビをひとつかましながら馬車の中から出てきました。
昨夜は旅の解放感からか、家来と酒を飲みながら明け方までチーズの話に夢中になっていたらしく、それが祟ってか睡眠不足な様子です。