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逃げる2匹。
追う1匹。

うず高く積まれたゲームソフトの細〜い隙間を小さいカラダでうま〜く擦り抜けるカオルとユタカ。

その細〜い隙間に真っ向から突っ込んでいくてつや。
大きな音を立て崩れ、その上を踏み台にしてジャンプする。
力一杯踏み込むことでゲームのケースに鋭い爪痕が刻まれる。

「うぁ〜っ!お前ら待て!落ち着け!まずは話し合いから始めようじゃないか!」
慌てふためく酒井の言葉に耳を貸すものはいない。

北山はカーチェイスのような追い掛けっこをじ〜っと見つめている。

『待てコラぁっ!』
『カオルさぁ、もうちょっと早く走れない?』
『あ゛〜、もうダメ!へとへとだよ〜・・・』
『あ、こいつ運動神経悪そう!まずはお前からだ!』

てつやはカオルを標的(ターゲット)に定めた。
大きく口を開けてカオルの後を追う。

『ダメだぁ〜・・・もう限界・・・』
『もらったぁ〜!』

てつやが噛み付こうと踏み切った瞬間、ユタカが足元にあった消しゴムをてつやに向かって強く蹴った。

『弾丸〜シュート〜っ!』
消しゴムはカオルの頭上スレスレを飛び、てつやの口の中に見事入った。

『んがっ!?』
『ゴ〜〜〜ル!』
両手の親指と小指を立てて手首をくるくると振り、ロナウジーニョのポーズをマネするユタカ。

『げほっ!げほげほっ!まっずぅ!ぺっぺっ!』
てつやは口から消しゴムを吐き出した。

『ユタカありがと〜!助かったよ〜!』

『なめたマネしやがって!次はテメエだ!』
ロナウジーニョポーズでピッチ(フローリングの床)を駆け回っているユタカに矛先が向けられる。

てつやがゆっくりとユタカの背後に近づいていく。

『ユタカ後ろ!逃げて!』
カオルの警告に我に返るユタカ。

『うわぁ!?』
ユタカは慌てて逃げ始めた。

『今度は逃がさねぇぞ!』
『食われてたまるかぁ〜!』

床の上を右へ左へ走り回るてつやとユタカ。

カオルはテーブルの上に一時避難。
『はぁ。ひっさびさに走ったから息切れちゃったじゃん。』


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