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その日の夜、てつやのこめかみをアイシングしている酒井に北山が話を切り出した。

「ストーカー、他にターゲットができたみたいで家の前からいなくなってたよ。帰るね。」
「あ、そうかぁ。よかったな。ちょっと寂しくなるがな。でもこれでてつやにも平和な日々が戻って来るな。」
酒井は、眠るてつやの頭を撫でながら北山に返事した。

「ありがとうね。また遊びに来るから。」
「おぅ。今度来る時は変な事件に巻き込まれてない状態で来てくれよな。」
「ん。わかった。」

北山は穴に近づき、小さく壁をノックした。

「カオル。ユタカ。帰るよ。」

『やった!帰れるの?!』
『これであのエラそうな猫に追われることもなくなるな〜。』

穴の前に差し伸べられた北山の手に2匹が乗る。

北山と2匹のネズミは1週間の同居生活を終え、酒井の部屋を後にした。

 

 

そのまた1週間後。
ベランダにあの猫が現れた。

『てつやくぅ〜ん☆』
『や、やぁ。元気にしてたか?』
てつやはあのパンチを食らって以来、エリザベスの前では恐怖で目が泳いでしまうのだった。

『カオル君とユタカ君は?』
『あいつらなら自分ちに帰ったぜ?』
『え?そうなの?今日デートの約束してたんだけど』
『でっ、でっ、でえとぉ〜〜?!』

てつやが口をポカンと開けて呆気にとられたと同時に聞き覚えのある声がした。

『はい、到着〜』『着いた着いた〜』
『・・・まさか・・・』
てつやが声のする方をゆっくり振り返る。

てつやの予感は的中、穴から2匹が出てきたのだった。


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