『うわぁ』
『離してよぉ』
カオルとユタカはてつやの手の中でジタバタと暴れてみるも、すでにてつやに抵抗できるほどの体力は残っていない。
『ぃよぉっし!2匹まとめてゲットだぜぇ!』
てつやは水に戻した干瓢(カンピョウ)を使い、器用に1匹ずつグルグル巻きにして皿の上に並べて寝かせた。
そしてカオルの上にカレーを、ユタカの上にウニを“トッピング”した。
『何すんだよ〜!俺たちのカラダで“女体盛り”するなよ〜!』
カオルがてつやを睨みつけた。
『バ〜カ!お前ら♂じゃねぇか!しかもなぁ、お前らは“器”じゃねぇんだよ!お前らはリッツ代わり!
最後の晩餐は“リッチュパーティ”なんだよ!』
てつやは首元にナプキンを巻きながら2匹に対し高らかに勝利宣言を行った。
『やだやだやだ!絶対食べられたくない!』
ユタカが声高に叫ぶ。
『どっちを先に食べようかな〜?カレーは味が濃いから、先にウニだな。』
てつやがユタカの方に手を伸ばした。
『あっ!お兄さん聞いて聞いて!あのさぁ、俺タバコ吸うからさぁ、すっげぇまずいと思うんだよね〜。
俺食ったら間違いなく健康を害する恐れがあるよ。だからやめた方がいいよ?ね?』
『へっ!残念でしたぁ!俺もタバコ吸うから全く問題ねぇんだよ〜だ。』
『え、マジ?・・・いやいや!“禁煙セラピー”読んだ方がいいよ?今からでも遅くないよ?』
『お前が読めばいいだろ?もう手遅れだけどな。』
『いやいやいや!あのね〜(以下略)』
ユタカが必死に舌戦を繰り広げるなか、一方のカオルは・・・
『なんか・・・カレーにまみれて死ねるなら本望かも・・・』
悟りを開いたインド人のように、観念して目を閉じ、じっと横たわっていた。