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「じゃあ俺が浜まで送ってあげるよ〜。」
「お客様、こちら開店1周年記念の粗品です。お持ち帰りください。」

男は、ボーイから受け取った黒いBOXを小脇に抱え、キャバ嬢とふたりで亀の背に乗りました。
亀は、今度は慎重に平泳ぎで海面へ浮上していきます。

「あっ、じゃあもうこの辺でいいぞ。」
「あ、そう?じゃ、またな〜。」

亀は海へと戻っていきました。

あいにく海沿いには女性を連れていくような店は1軒もなく、あるのは夜10時に閉まるヤマザキデイリーストアしかありません。
(しかもつい1年前まではごく普通のヤマザキのパン屋で、閉店時間も夜7時だった)

それよりも何よりも炊きたてのごはんを食べたかった男は、アフターのキャバ嬢を連れてまっすぐに家に帰りました。

「どっ、どうぞ。散らかってるけども。」
「お邪魔しまぁ〜す☆」

男は早速、亀からもらっていたレトルトカレーを湯煎で温めました。
2食しか入ってないのに若干高めに値段設定されたそのカレーは味も本格志向で、男も大好きな1品です。

男はふと考えました。
いくら高めのカレーとはいえ、それだけしか出さないっていうのはちょっと味気ないのではないか?
キャバ嬢にバカにされやしないだろうか?

「・・・あ、そうだ。たしかさっきボーイに渡されたものがあったな。」

ボーイから受け取った黒いBOXは、お重的な入れ物でした。

きっとうまいものが入っているに違いない。
男は、キャバ嬢が待つちゃぶ台にカレー2皿と黒BOXを運びました。

「これ、店の1周年記念にもらったんだが。」
「あっ、そうなの?中身までは聞いてなかったな〜。ね、早く食べよ食べよ☆」

かわいいキャバ嬢に早くと急かされてドキドキしない男なんていません。(あくまで男の持論です)

「じゃあ、食うか。いただきます。」
「いただきま〜す!ね、これ開けちゃっていい?」
「ああ、いいぞ。」
「やった〜☆」

キャバ嬢は意気揚々とBOXの紐を解き始めました。


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