「あんた、亀で長生きしてんだからもうちょっと威厳を示しなさいよ。クソガキにナメられちゃってんじゃないかっ。」
「え?そうなの?」
亀はポケットから小銭を出す時にポケットの内側の布が必ず出てしまったりするので、子供たちからも全く恐れられていませんでした。
「あっ、そうだ。あのさぁ、俺いい店知ってるんだよね〜。連れて行ってあげようか?」
「いい店?」
「うん、すっごいいい店だよ〜。じゃ、甲羅の上に乗って〜。」
男が亀の甲羅にまたがると、亀はどんどん海の中へ。
「いや、あっ、ちょ、ちょっとぉっ!濡れるってば!溺れるってば!ちょ、助けてくれっ!っていうかあんた、人の話聞いてるか?!」
亀は男の叫びに全く耳を貸す様子はなく、最近練習中のバタフライでどんどん潜っていきます。
たどり着いたのは、海の底。
派手な造りのお城的な建物で、少々派手派手しくて下品な佇まいでした。
「ほぉ〜、海底にこんな変わったカレー屋があるのか。」
「え?カレー屋じゃないよ?ほら。」
亀が指差した看板には、「キャバクラ竜宮城」と書いてあります。
「キャ・・・っ!?」
「そうそう。家でゲームばっかりしてないでさ、たまにはオンナノコたちとパァ〜っとやりなよ〜。」
亀は、カレーのことばかりを考えながらも、時々は男のことも気にかけていたようです。
「さっ、入ろ入ろ〜。」
「いや、あの、だからっ、」
躊躇う男の腕を引き、亀は構わずずんずん店の中に入っていきました。