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北風が先攻を選び、試合開始。
北風は、早速旅人に向かってビュ〜ビュ〜と強風で攻め立てます。

「うわぁっ!!」
「脱げ〜!」ブォ〜ッ。「脱げ〜!」ブォ〜ッ。
「さっむ〜っ!!早く飲み屋を見つけないと、凍え死んじゃうよ!」

旅人は、風で飛ばないように、そして冷たい風がマントの内側に入り込まないように、マントの襟をしっかり握ってしまいました。

「えぇっ?!マジか!」

そうです。
残念ながら、北風は寒いんです。
南風だったら温かくてよかったのにね。・・・♪もうすぐみ〜なみ〜かぜ〜(以下割愛)

「じゃあ、次は俺ね。」

次は太陽の番です。
太陽が「♪さんさんさん、太陽の〜光〜」と『さわやか3組』のテーマ曲を少年時代の三浦大知の声色をマネしながら歌い、旅人を照らします。

「えぇ〜っ、今度は猛暑だよ〜!どうなってるの、この異常気象は?!エルニーニョの影響?地球、まじヤバくない?」

じきに旅人のおでこからキラリと光る汗が流れ落ちました。
旅人がマントを脱ごうとしてるのを見て、太陽は勝利を確信しました。

「ビクトリー!(ええ声)」

しかし。

「あ、飲み屋やっと発見!」

目と鼻の先に飲み屋「Peter Pan」を見つけた旅人は、脱ぐ手をとめて、店に向かって走り出しました。
どうやら脱ぐのは店に入ってからでも構わないと思ったようです。

これはまずい!
太陽は、そのコンピューターのような頭脳ですぐに新たな作戦を考えつきました。

「♪スロぉ〜モ〜ションで〜」
太陽が歌い出すと旅人の足がピタリと止まりました。

どこからともなく聴こえてくる歌に戸惑いながらも・・・

「♪つぅき〜がてぇ〜らぁ〜すぅ〜☆」

旅人のカラダは、なぜかこの歌に勝手に反応してしまいました。
暑くて仕方がないのに、なぜだかノリノリで歌い踊ってしまいます。
全身汗だくになってしまった旅人は、しまいには妖艶にマントを脱ぎ・・・

「♪いぇす・・・のぉぅ・・・・・・いぇ〜す・・・(吐息まじり)」

とうとう最後までまるまる歌い踊りきってしまいました。
個人的には、マントだけといわず、「裸のプロポーション」が見えるまで脱いでくれるともっとうれしかったんですけどね。(は?)

「ま、負けた・・・んなアホな・・・」
「というワケで、約束守ってね。」

勝負に負けた北風は、時々は太陽に言われたとおり風力発電のプロペラを回しました。
しかし、プロペラが回る以外に変わった動きを見せないため、それはそれは退屈なものでした。

「達成感なさすぎる・・・」
「そんなことないよ。目に見えて結果が出ないだけで、データにはちゃんと出てるよ。」

太陽はデータをたくさん並べて説明してくれましたが、北風にはそういう難しいことはよくわかりませんでした。

教訓。
勝負は予測不可能である。
そして、作戦を立て直しが勝負のカギを握るのだ。


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