一方その頃、ウサギと亀は。
ウサギは、道中にあった 人影もまばらなソウル・バー「Tom Sawyer(トム・ソーヤー)」で一杯ひっかけてました。
「あんだけ差が出りゃ勝ったも同然だよな〜。あいつの足なら早くても明日の朝になんないとゴールしないんじゃね?もう余裕じゃん。
・・・あ、すいませ〜ん、これ、もう一杯〜♪」
もうカンペキできあがっていて、ケツから根が生えてるように椅子に腰を据えて本格的に飲んでしまっています。
では亀の方は一生懸命歩い・・・
「すいませ〜ん、ほうれん草とチキンのカレーひとつと〜・・・サモサ!」
や・っ・ぱ・り・か!!(呆)
インド料理「ダルシム」でケツから根が生えてるように椅子に腰を据えて注文していました。
「いやぁ、やっぱり『ハラが減っては戦はできぬ』って言うしね〜。」
とても全(まっと)うな言い訳でごまかしています。
「では、いただきます。」
出てきたカレーの景色をしばし楽しんだ亀は、「いいよいいよ〜」とカレーに向かって賞賛の言葉を投げかけながらカレーを口へと運びます。
それにしても優雅に食うなぁ〜。追いつく気あんのかよ・・・?
優雅な食い方でしたが、カレーが大好物の亀はキレイにペロリと平らげました。
もちろん「ごちそうさまでした」の言葉も欠かしません。
精算を終えた亀は、店を出て再出発です。
敵も今油断してる真っ最中だけど、どう考えても追っつかないだろうなコレ。
「あ〜、食べてすぐ運動したから横っ腹痛くなってきた・・・」
そこ、計算に入れてなかったのもすごいっすね・・・。
「あ〜、マジで痛いなぁ・・・もうすぐ山頂だし、そこで休もうっと。」
また休むんかい!というみなさまのツッコミがそこここで聞こえてきますが、亀の耳には残念ながら届きません。
「この木にもたれて、っと・・・ぉわぁ!!」
亀がもたれかかったのはサルスベリの木でした。
そのツルツルとした木の作用で、猿ならずとも滑ってしまいました。(ほら、甲羅がツルッとね。)
習性でアタマと手足を引っ込めて受け身をとるワケですが、楕円形になった亀は止まれるはずもなく、ものすごい勢いで山の斜面をコロコロ下っていきます。
コロコロコロコロコロコロコロコロ・・・・・・
「うわぁ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜」
亀の甲高い声が響き渡り、山びことして戻ってきたりもしましたが、喜んでいる余裕はありません。
裾野に行くにつれ徐々に斜面は緩やかになり、次第にスピードも落ちてきましたが、まだ止まる様相を見せません。
亀はようやくどこかにゴツ〜ンとぶつかって止まりました。
「おや、誰かと思ったら亀さんじゃないですか。いらっしゃいませ。」
名前を呼ばれた亀は、アタマをゆっくり出してみました。
「・・・・・・あっ!君は!」
キャバクラ「かぐや姫」の男性店員でした。
転げ落ちた先がちょうどキャバクラ「かぐや姫」のドアで、亀がぶつかったのを店員がノックされたと勘違いし、外へ出てきたようです。
「あの・・・ウサギってもう来てる?」
「いいえ?今日はまだ来られてませんけど〜・・・」
というワケで、この時点で亀の勝利が確定しました。
イギリスのブックメーカーでも亀のオッズは天文学的に大きかったのにね。
亀に賭けてた人は大儲けだよね。ウハウハだよね。
亀は軽い足取りでしたが、♪スロぉ〜モ〜ションで〜店内に入って行きました。
一方、その頃ウサギはというと・・・
「まず〜い!もう一杯〜!でへへ〜!」
・・・まだ飲んでましたね。おつかれちゃ〜ん(インスタントジョンソン←最近見ないね)
教訓。
勝負は予測不可能である。(アゲイン)
そしてサルスベリをあなどるなかれ。
以上。