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「とりあえず、中の様子見てから、ね。」
ロバが口の前にヒヅメを持ってきて、シ〜ッと合図しました。
そしてロバが抜き足差し足忍び足で小屋に近づくと、窓のそばの壁に張りついて、小屋の中を覗き見ました。

「・・・・・・」
「オイ。」
「・・・・・・」
「オイ、って。」
「しっ・・・静かに。」
「・・・もしかして中で男女があられもない姿で・・・?!!」

誰とは言いませんが、誰かが発したその言葉で他の動物たちも窓へと忍び寄ります。

でも実際は違いました。
小屋の中には悪役商会の俳優さんのようなコワモテの男が数名いただけで、女性の姿はありません。
ロバ以外の3匹は心底ガッカリしました。

「ひ〜っひっひ!今日は実入りが多かったな!」
ひとりの男が札束を手にし、サツカン(お札の勘定)をしながら下品な笑い声を上げます。

「これも売ればかなりの金になるな!」
別の男がテーブルに並べた金銀財宝を順に手に取っています。

「まさか食べ物まで手に入るなんてな〜!ちょろいもんだぜ〜!」
テーブルの上には豪華食材を用いたおいしそうな料理の数々。
高そうなワインやシャンパンもあります。

そうなんですよ、川崎さん。
この小屋は窃盗グループのアジトだったのです・・・!

「悪いやっちゃな〜!」
あまりうまくない大阪弁で犬が小声で呟きました。

「これダメでしょ、マジ!だんだんハラ立ってきた!」
猫も犬に同調。
ニワトリも怒りの表情を浮かべ、静かに頷きます。

「あ。いいこと思いついた。」
ロバが、ある提案を思いつきました。
3匹を手招きし、小声で作戦を耳打ちします。

「それいいね!!」
賛同したニワトリの声が大きくて、猫が「し〜っ!静かに!」と小声でたしなめる場面もありましたが、4匹は早速準備にとりかかりました。

ロバの背中に犬が乗っかって、犬の背中に猫が乗っかって、猫の背中にニワトリが乗っかりました。
そして、ロバが音を採り、息を合わせて4匹で一斉に鳴き喚きました。

するとどうでしょう、明るい小屋の中から窓の外を見ると、トーテンポール状態の4匹の影が、黒くて大きな謎の怪物(新種のUMA)のように見えました。
さらに、ロバの低音、犬のファルセット、猫の甘い歌声、ニワトリの謎の「♪いぇっへっへぇ〜ぇいっ!」。
これらが同時に合わさることで、なぜか恐ろしい怪物の鳴き声に聞こえたのです。
驚いた悪党たち、「ば、バケモノだ〜っ!!」と口々に叫び、小屋から飛び出して遠くへと走り去っていきました。

「勝利のポーズ!・・・♪やった〜!やった〜!ヤッタ〜マぁ〜ン!」

ロバと猫がヤッターマンスタイルで歓喜の雄叫びを上げれば、犬が「ヤッターワン!(低音)」と四股を踏み、ニワトリも「やったでコロン!(高音)」と羽ばたきました。
そして家の中へ入り、残されていた料理を4匹でなかよく食べました。
おなかいっぱい幸せいっぱい、それに今日1日の疲れがたまっている動物たちは小屋の中でスヤスヤと眠りにつきました。

めでたしめでたし〜♪

 


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