エレベーターを待つ間。
さっき会ったばかりの人とふたりっきり。
間がもたなくて、なかなか降りてくる気配のないエレベーターのドアを見つめてみる。
目を合わせるの恐いし。
「いくつ?」
「え?」
「年。」
「あ、あぁ、えっと、28です。」
いきなり単語で質問されたからどう答えていいかわからなかったよ・・・。
「タメか。お前童顔だな。」
タメかよ!
俺が童顔なわけじゃなくて、お前が貫禄ありすぎなんだよ!
「他の方々は?」
「全員年下。あいつらに気ぃ遣うことねぇぞ。」
いやいや、彼らも俺に対して全然気ぃ遣ってる様子ありませんけど?
「あの〜、村上さん。なんで『庶務“五”課』なんですか?二課とかないですよねぇ?」
「知らね。」
「・・・はぁ。」
そんなやりとりをしている間に「チン!」という音とともにエレベーターが到着した。
エレベーターの中、沈黙が続く。
再び「チン!」という音が、目的の階に着いたことを知らした。
エレベーターを降り長い廊下を歩いていると、同年代ぐらいの男性社員が数名、廊下の幅いっぱいを使ってこっちへ歩いてくるのが見えた。
お互い歩みを進め、目の前で両者ピタリと足を止めた。