「あとは・・・料理ですか。」
「料理は自信あるんですけどねぇ〜。」
「『けど』?」
「んまぁ、みなさん薄々感付かれてるかと思いますが・・・」
「・・・あ、カレーの匂いだ・・・」
「ぴったしカンカン。」
「ぴったしカンカン恒例、1枚の写真?」
「いやいやいや。」
村上が前菜を持って現れた。
「海の幸と半熟卵のコンソメ・ジュレ寄せでございます。」
テーブルに置かれたそれは、透明なゼリー状の固まりの中に色鮮やかな具材が透けて見えている。
涼やかな見映えの、夏にうってつけの前菜だ。
「酒井さん、いただきましょうか。」
「あ、はい、いただきます。」
ふたりはフォークとナイフを手に取り、一口大に切って口へと運んだ。
「うん・・・?これすごくおいしいじゃないですか。」
「でしょ?」
酒井がうれしそうな笑顔を浮かべる。
その後、スープ、魚料理、肉料理と順番に運ばれたが、申し分ない出来であった。
北山は村上を呼び付けた。
「とても美味しかったです。シェフを呼んでいただけますか?」
「畏まりました。お待ちくださいませ。」
村上は厨房へと向かっていった。