パーティ当日。
綺麗なドレスで着飾った彼女と、タキシードに身を包んだ彼が高砂に陣取る。
今日は北山・村上だけでなく、急遽接客マニュアルを叩き込まれたパトロンの酒井も給仕に駆り出された。
黒沢が作った料理も、安岡がチョイスしたワインやシャンパンなども好評を博した。
宴が中盤に差し掛かった頃、北山が高砂の横に立った。
「ここで当店『Cinq clef』からおふたりにささやかなプレゼントがございます。」
北山の横に4人が並ぶ。
北山がポケットから音叉を取り出した。
合図をして、村上が歌い出した。
♪『愛してる』って最近 言わなくなったのは
本当にあなたを愛し始めたから
新郎新婦だけじゃなく、列席した客も5人の歌声に聞き入っている。
♪たった一つのこと約束したんだ これから二度と離さないと
たった一人のため歩いてゆくんだ あなたに二度と悲しい歌聴こえないように
歌い終わった途端、5人のアカペラに拍手が巻き起こった。