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「俺は飲みでもカレーでもどっちでもいいんすけどね。」
「じゃあカレーでよくない?」

酒井と黒沢はそんな会話をしながら北山の後を追い廊下に出る。
そんな3人の前から村上と安岡が姿を現した。

「ひっさびさだよなぁ、こんな早く帰れるの。」
「ホントですよぉ!毎日毎日朝から明け方まで捜査 捜査 捜査・・・。もうお肌ボロボロですよぅ!」
「俺もだよ、ったく・・・お、安岡見てみろ!ヒマすぎるせいで肌スベスベのヤツが来たぞ!」

村上が、前方20メートルほど前から歩いてきた黒沢を指差し、聞えよがしに叫んだ。

「うっさいよ村上ぃっ!これはヒマなせいじゃなくて俺の努力の賜物なの!佐伯チズ様様なの!チズコットン様様なの!」
「うっせ!オメェ意味わかんねぇんだよ!」

黒沢と村上が、徐々に距離を詰めながら、なおも叫ぶ。
他の3人には見慣れた光景らしく、誰ひとり驚いた様子はない。

「これはこれは、捜査1課のおふたり。今日はもうお帰りですか?」
ようやく横から割って入ったのは北山だった。

「そうですが?何かご不満でもおありですか、警部殿。」

村上が眉間に皺を寄せてわざとらしくそっぽを向いた。
しかし北山は表情ひとつ変えない。

「たまには一緒に。捜査1課のおふたりもどうですか?」
「えぇ?!陽一さん、村上誘っちゃうんですか?!安岡はいいけど。」
「お前ひとこと多いんだよ!」
「お前もだろ〜?!」

またも言い争う黒沢と村上の横で、安岡が「は〜い!俺行きます!」と元気よく挙手した。

「お、さすが酒となると俄然食いつきが違うんだな。」
「酒井さんだってそうじゃないの〜?」
「え?カレーじゃないの?」
「俺ら4人で飲みに行くからお前ひとりでカレーでも食ってろバカ!」
「バカって!・・・ひっどいな!」

廊下に5人集まってわいわいと大声で話している横を、署員が訝しげな顔で通り抜けていく。
その空気を感じ取った北山が他の4人を制した。

「では、行きますよ。」

「俺、北山さんにごはん連れてってもらうの初めてかも〜。」
「あ、安岡初めてなの?」
「うん。黒沢さんはあるの?」
「うん、回転寿司連れてってくれたよ〜?」
「ええっ、回転寿司とは・・・イメージないですねぇ〜。」
「そうだな、警部殿みたいな紳士キャラなら美人女将のいる料亭とか行ってそうなのにな。」

先導すべく歩き出した北山の後ろを、浮かれた様子の4人が話しながらついていった。


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