5人は2階事務所から階段を駆け下り、道路に出た。
外はすっかり暗くなっている。
「村上っ!先導頼む!」
「間に合うかな?!」
「そんなに遠くない、心配すんな!」
村上が走り出し、4人もその後を追った。
「うへぇ〜っ・・・きっついな!」
「ちょ、バテないでくださいよ黒沢さんっ!」
「次の次の角を左に曲がったとこの奥っ・・・赤い屋根のでっかい倉庫だ!」
最後の曲がり角にさしかかったところで走るスピードを落とし、足音を響かせないように慎重に歩を進めていく。
「・・・ここだ。開けるぞ?・・・いいな?」
村上が4人にだけ聞こえる小さな声で尋ね、振り返る。
4人が頷いたのを確認した後、村上は大きな倉庫の金属製の扉を開いた。
だだっ広い倉庫の真ん中に置かれたテーブルを囲んで何やら作業をしている数人の男が見えた。
よく見ると、テーブルの上にはブランドのバッグだと思われるものが大量に置かれている。
「何をしている?!」
「動くな!!」
安岡と村上の声に顔を上げた男たちは慌てた様子で倉庫の奥に向かって逃げ出す。
それを5人が追いかける。
「おらっ、待てっ!」
村上が逃げ遅れた男の腕を掴んできれいな一本背負いで投げ飛ばし、みぞおちにパンチを振り下ろした。
「黒沢ぁっ、そいつ何か持って逃げてんぞ!逃がすな!」
「わかった!」
黒いトランク型のバッグを持った男の背後から黒沢がタックルで捕らえる。
その衝撃に前方へ飛んだバッグが、ひとりの男を取り押さえていた安岡の足元へと転がっていく。
安岡はそれをすかさず拾い上げ、中を確認する。
「酒井さん!これ!」
殴りかかってきた男のパンチを避け、膝で相手の腹を蹴り上げ仕留めた酒井が、安岡が手にしたバッグを覗き込んだ。
「これは・・・!警部、ヤクです!間違いありません!」
自らが捕えた男の首を捕らえたままテーブルの上に置かれたものをチェックしていた北山が、酒井の声に顔を上げる。
「ひょうたんから駒、というやつですか・・・。さて、ご同行願いましょうか。」
北山は掴んでいた男の腕を後ろに捻り上げ、男の両手に手錠をかけた。