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「机が6台・・・の割に電話の数が多いですねぇ。」
「あっ!陽一さん、これ!なんか書いてあります!」

それぞれの電話の受話器にはインデックスシールが貼られていて、暗闇であるがペンで何か書き込まれているのが見えた。
酒井がペンライトで机の上を照らした。

「『保険』、『掃除』、『水道』、『買取』・・・何なんです?これ〜。」

安岡が読み上げたキーワードを聞き、黒沢が「ああっ!もしかしてあのチラシの仕事・・・?!」と声を上げる。

「あのチラシに書かれている会社の電話は、全部このフロアにかかってくるように転送されていたんですね。
恐らくこの部屋は電話を受けるだけのダミーの会社で、各仕事は各担当者にまかしているのでしょう。」
「ダミー会社?なぜ業務はここでおこなわないんです〜?」

北山の推理に、安岡が首を傾げた。

「各事業を軌道に乗せる必要がなかったからです。要は、怪しまれることなく家の中に入れればいいだけなのですから。」
「えっ・・・まっ、まさか、空き巣の正体って・・・?!」

北山の推測に黒沢がまたも大きく驚く。

「あの界隈に配られたチラシの共通点は『家に上がり込める商売』です。
何かの理由をつけて家に上がり、家人が席を外した隙に家の中を物色することも可能です。
もしくは複数人で家に上がり、その中の1人が何か理由をつけて・・・例えばトイレを借りたり携帯に電話がかかってきたフリをして席を立つ。
その隙に物色することもできます。まぁ、これはあくまでも推測の域を脱しませんが。」

黒沢が何気に目の前にある机の引き出しを開けた。

「あ、陽一さぁん、こんなところにノートパソコンがありますよ?」
「ノートパソコン・・・出してみてください。」
「あっ、はい!」

黒沢がノートパソコンを引き出しの中からそっと取り出して机の上に置く。
北山が折りたたまれていたモニターを上に押し開き、電源ボタンを押した。

「OS、事務ソフト・・・やはりチラシのモノと同じですね。」
「警部!この複合機、例のチラシと当てはまります!」

窓際に置いてあった複合機の品番をペンライトで照らしながら酒井が叫ぶ。

「これでこの会社とチラシの関係性はかなり強固なものとなりました。
どうやらここがあの住宅地にチラシを撒いた業者の活動拠点である可能性は非常に高い。
ですが・・・これだけでは空き巣との関連性はまだまだ弱いままです。」
「ええ〜っ、じゃあどうするんです〜?!」

北山の言葉に、黒沢が呆れた様子で頭を抱えた。

「あ?これなんだ?」
村上の呟きに、4人が一斉に声のする方に顔を向ける。


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