3階に到着して早々、北山が背後に立つ酒井を振り返って、「開けてください。」と言いドアの前を譲る。
「またっすか・・・」
酒井が早ワザでドアのロックをピッキングで解錠し、ドアを開いた。
ペンライトの明かりを頼りに皆で室内を観察する。
間仕切りのボードがあり、片方のスペースには低いテーブルを挟むようにして革張りのソファが向かい合うようにして置かれている。
もう一方のスペースには会議テーブルが3台、カタカナのコの字型に配置され、それに見合った数の折りたたみイスが並べられている。
「・・・ここは応接室、もしくは会議室のようですねぇ。」
「内線の電話以外は、特に何も置かれてない模様です。」
黒沢と酒井が室内を調べて北山に報告する。
「では、4階・・・行きましょう。」
「はいっ。」
5人は連なって階段を上がり、またしても酒井が同じ要領でドアを開けた。
「ここは・・・ドアのプレートの表記どおり倉庫みたいだな。」
「ホントですね・・・使ってない事務用のキャビネットとか机とか。それに段ボールの箱とか。」
「陽一さん、どうします?ここ、調べますか?」
「ここはまだいいでしょう。手がかりがない時の最終手段として取っておくことにします。次、行きましょうか。」
4階フロアを後にし、5階へ。
「これが最上階です。・・・はい、開きましたよ。どうぞ。」
酒井がドアを解錠し、一同はその中に足を踏み入れた。
「なんだ?ここは・・・」
村上が周囲を見渡して呟いた。
ガランとした室内の中心に事務机が計6台。
3台横並びにしたものを向かい合わせにくっつけた形で配置されており、それらの上にはたくさんの電話機が乱雑に置かれている。
5人は事務机に向かって歩いていく。