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北山が車に戻ると、黒沢が助手席に座り缶コーヒーを飲んでいた。

「黒沢君、もうすぐ3時です。
今日はもうこれで終わりましょう。」
北山が声を掛ける。

「・・・あ、陽一さん。俺、一度 署に戻るよ。鍋洗わないといけないから。」
「・・・わかりました。」

北山は車のアクセルを踏んだ。

 

 

黒沢は北山に送ってもらい、部署に戻った。
隣の生活安全課も誰もおらず、辺りは薄暗くシーンとしている。

「ん?」
机の上には、白いA4用紙に筆ペンで綺麗に書かれたメモが置かれていた。

『黒沢様、鶏と茄子のカレー 美味しゆうございました。酒井』

「あ、何コレ!?円谷幸吉の遺書のパクリかよ!
酒井、自殺しねぇよな?!大丈夫だよな?!」
自殺の事件を扱っている真っ最中、しかも夜中にこんな文章を見てしまった黒沢は、ちょっと不安になる。

酒井の書いたメッセージの下にも何か書かれている。
『たまにはカレー以外のもの作れよバカ!』
『↑これ村上先輩が書いた!Thank You☆  byヤスオカ』

「なんだよ、村上も食ってんじゃん。」
クスクスと笑い、鍋を持って給湯室に向かった。

 

 

朝。

「よっ!暇か?」
課長がノックなしで特命係に入ってくる。

「おーい。」
課長は毛布を被ってソファで寝ている黒沢の頬をペチペチ叩いた。

「・・・んぁ?・・・今起こしたヤツ・・・ぶっ殺す・・・」
黒沢は目を閉じたまま呟くと、再び寝息を立てる。

「えぇっ!?」

「徹夜明けなので、もうちょっと寝かせてあげてください。」
課長の背後から低い声が聞こえた。

「あ、警部・・・おはようございます・・・とりあえず、か、帰るわ・・・」
課長は脅えるようにじりじりとバックしながら特命係を後にした。

 

北山は手際よく紅茶を淹れて席につくと、ノートパソコンにフロッピーを挿入し、キーボードを素早く叩いた。
そしてプリントアウトした書類とコートを手に持ち、部屋を後にした。

すやすや眠る相棒を残して。


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