「わ〜!入ろ入ろ〜!」
「S・P・A!!S・P・A!!」
洗い場を確保(しかも俺の分まで)した4人は、湯槽へとまっしぐら。
「こらっ!ちゃんと“かけ湯”しろよ!それが大人のマナーだろ!」
俺は保護者か・・・。
「へいへ〜い。」「何それ?しょこたん?」「わかってるっつうの!」「冗談に決まってるじゃん。」
4人は同時にしゃべりながら、湯槽の横にピラミッド型に積まれた木製の洗面器を掴み、湯槽の湯を掬ってかけ湯をし始めた。
俺も出遅れまいとその後を追う。
「じゃあさ、せっかくだからさ、みんな『いっせぇのぉでっ!』で入ろうよ〜。」
いや、もはや意味わかんないぞ安岡!
「いっせぇのぉでっ!」
ざぶ〜ん。
誰も賛同の声を上げなかったのに(かと言って、反対の声も上がらなかったが)、みんな安岡の掛け声に合わせて入ってるし。
ま、俺もなんだけどさ・・・
「ぅへぁ〜・・・」
そんなとこ自然に5人でハモらなくても。
「いい湯だなぁ・・・」
北山がしんみりと呟くと、誰ともなくいきなりドリフの「いい湯だな」を歌い始めた!(ハモり付き)
「♪ばばんば、ばんばんばん」
「風呂入れよ〜」
「♪ばばんば、ばんばんばん」
「風呂入れよ〜」
「♪ばばんば、ばんばんばん」
「風呂入れよ〜」
「♪ばばんば、ばんばんばん」
「風呂入れよ〜」
風呂ばっかじゃん!
「・・・俺、露天風呂行ってくるわ・・・」
バカ騒ぎから逃れようと先に檜風呂から上がった。
「俺も〜。」
「あ、俺も。」
「やっぱナンダカンダ叫んだって露天風呂が一番ですな。」
「外寒いかな?」
うわ、全員ついてきた!
ガラスのドアを開けると、外から北風。
「うっ、寒っ!」
ぞろぞろと5人で露天風呂へ向かい、そして入る。
ざぶ〜ん。
今度は掛け声もなかったのに5人一斉に浸かってるし・・・
野郎5人で露天風呂。
火野正平と古谷一行がうらやましい。
大勢じゃなくていい。
11PMのウサギちゃんでもいい。
うなじの後れ毛が湯で濡れて、みたいな、そういう色っぽいシチュエーションないのか?
・・・ないよな。混浴じゃないし。ないない。あるワケない。