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俺は、4人を置いて洗い場に戻った。

備え付けのシャンプーで洗髪してすすいだら、髪がパサパサのギシギシになった!
“リンスインシャンプー”って書いてあるけど、リンス効果はどこにも見当たらない。名ばかりのシロモノだ。

「うわ、パッサパサになったよぉ〜!!」
「何だこれは!手櫛すら通らん!」
「俺のアジアンビューティーが!」
「ありえない・・・」

俺より少し後にシャンプーした4人もかなりショックを受けている。
特に村上と酒井は髪長いから大変かも・・・

 

「おい、安岡ぁ、背中洗ってくんねぇ?」
村上が“年上”と“リーダー”という権力を利用して安岡に命令している。

「えっ!?やだよそんなの!!暴君だ!この人、暴君だよ!」
「じゃあさ、縦に同じ方を向いて座って、前の人の背中洗えばいいんじゃないの?」
北山が真顔で提案する。

「おぉ〜っ、いいねぇ〜!」
賛同する3人。

よかないだろ。

「おい、黒沢も早く来い。」

俺もかよ。

ごしごし。ごしごし。

「はい、反対向いて〜。」

ごしごし。ごしごし。

「はい、反対〜。」

ごしごし。ごしごし。

「ちょっと待ったぁ!」
酒井が急に挙手しながら叫んだ。

「どうしたの?」
北山が尋ねる。

「一番前と一番後ろにいるヤツ、2回に1回洗ってないぞ!俺真ん中だからさっきからずっと洗ってるぞ?」
「じゃあ、円になれば。」
北山がまたも真顔で提案する。

「おぉ〜っ、いいねぇ〜!」
賛同する3人。

よかないって、だから。

ごしごし。ごしごし。
ごしごし。ごしごし。

「おぉ〜、これだったら、反対向かなくても全員洗えるね〜♪」
安岡がご機嫌で言った。

 

何やってんだよ俺は。

ひとり静かに温泉を嗜(たしな)む予定が、こうも乱されるなんて・・・

仕方ない。
明日の朝ごはんの前に、みんなに見つからないようにこっそり風呂に来て、ゆっくり満喫しようかな・・・。

 

 

【つづく(かも?)】


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