村上と北山が店の前に到着した時、酒井はドアを開けたままの状態でボサ〜ッと立ち尽くしていた。
「おい。酒井。早く中入れよ。」
「・・・・・・」
「おいっ!」
村上がヒジで酒井の背中を後ろから突いた。
「おっとと・・・!」
酒井は押し出されるように店内につんのめっていく。
酒井が遮っていてたことで見えていなかった店内がようやく見えるようになり・・・
ふたりは酒井がつっ立っていた理由を知ることとなる。
「あ・・・」
「どうぞ?」
バーのカウンターの中には、ストレートの長い黒髪が特長の超美人な女性バーテンダーが。
村上・北山もその場に立ち尽くしてその女性を見つめた。
ドア入口を塞ぐように立っているふたりの背中を押して店に入った黒沢と安岡も、先に入った3人と全く同じ反応を見せる。
・・・5人全員、目がハートになっている・・・。
示し合わせたように、5人はバーテンダーの立つ真ん前の席を取るべく、一斉に駆け出した。
「ちょ、最初に店に入ったのは俺でしょう?!」
「関係ねぇよ!」
「はい、退いて退いて。ここ、俺座るから。」
「今日計画したの、俺だろ〜?!」
「では、ここは上司である私が・・・」
5人が揉め合っている原因が自分にあると思っていないバーテンダー。
くすくすと笑いながらアイスピックを持ち、丸氷作りを再開した。
「こうなったらジャンケンで勝負だ!」
「ジャンケン?!」
「せ〜のっ・・・ジャンケンポン!」
「っしゃっ!」
「がぁぁっ!」