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黒沢以外の3人は、思ってもみない安岡からの命令に、胃に穴が開かん勢いで商品開発を進めていった。

プロジェクト会議を重ねた結果、完成した試作品は以下のとおり。

1.恐竜型mp3プレーヤー「トリケラトプレーヤー TriceratoPlayer」
「mp3」の「3」と、トリケラトプスの角(ツノ)の数がかかっている。
長い2本の角からイヤホンのコードが出ていて超オシャレ。

2.恐竜型ケースに入ったサプリ「ティースレックス Teeth-REX」
カルシウムとキシリトールとPOs-Ca(リン酸化オリゴ糖カルシウム)配合のチュアブル式サプリ。
『100歳になってもティラノサウルス(T-REX)のような強い歯で』がキャッチコピー。超効く。

3.恐竜型アトマイザーに入った香水「ディロフォセント DilophoScent」
ディロフォサウルスの口から香水が出る。映画「ジュラシック・パーク」で毒吐いてたのを思い出して作ってみた自信作。
意中の相手もこれで超イチコロ。

(以上、説明文作成:黒沢)

「・・・強烈に売れなさそうっすね・・・」
「俺ら営業だからさ、今度はこれを売り込まないといけないんだぜ?あり得ねぇよ・・・」
「広報部だって同じです・・・これをどう広告展開しろと・・・」

会議の最中、村上・酒井・北山は小声で愚痴り合っていた時。
いつも会議中は笑顔で座っていて、ほとんど発言していなかった黒沢が突然挙手をした。

「安岡専務〜。」
「何ですか?黒沢さん。」
「ひとつだけ、変更したい点があるんですけどぉ〜。」

安岡が返事する前に村上が割って入る。

「ちょっと待て黒沢っ!お前が発言するとロクな・・・」
「何ですか?黒沢さん。」

村上が狙った黒沢の発言の阻止は、安岡によってあっけなく止められる。

「これね、試作品作ってみたんですけどね、もうちょっと触感がね〜、爬虫類っぽい方がリアルでいいかなって思うんですけどぉ〜。」
「キモっ!リアルな触感って!そんなとこでの本物志向って必要ないでしょうがっ!」
「ほぉ。触感にもこだわる、と?」
「せ、専務・・・黒沢さんの意見に食いつきすぎです・・・」
「酒井さん。」
「あ、はい・・・?」
「今すぐいい素材がないか調べてみてください。」
「は、はぁ・・・」
「お願いします。」
「や、やりますけどね、えぇ・・・」

酒井は手元にあるノートパソコンを立ち上げ、検索を始めた。
それを手伝うように北山もノートパソコンを開く。

黒沢はさっきからずっと恐竜型の試作品を撫で回しており、村上は呆れたようにその様子を見つめている。
安岡はイライラした様子で手にした書類をめくっている。
黒沢以外、ピリピリムードである。

「あ、っと・・・ありました・・・福井県にプラスティック素材で恐竜のような触感を出す技術が・・・」
「それに必要な材料が韓国に・・・」

酒井と北山の情報収集力で、その技術は数分で見つかった。

「300億ウォンで買い占めろ!!」
安岡が書類を空(くう)へ投げながら、ふたりに指示を飛ばした。

「さ、300億ウォン?!そ、そうは伺いましても、現場の実状とかけ離れているのは明らかですッ!」


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