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「集まってもらったのは他でもない。君たち4人には、私が指揮する特別プロジェクトに参加してもらうことになった。」
「特別プロジェクト、ですか?」

北山が安岡の言葉を拾い、先を急かす。

「そうだ。我が社はここ数年間ヒット商品が全く出ていない。定番商品の売り上げを中心に利益は横這いだ。
そこでだ。その現状を打破するべく特別プロジェクトを設けることにしたのだ。
来年1月から、プロジェクトで新商品を開発し必ずヒットさせる。それが私、そして君たちの使命だ。」
「わ〜!安岡専務、噛まずに言えましたね!」

拍手をして感心しまくる黒沢を制し、村上が割って入る。

「ちょ・・・ちょっと待ってください・・・何でまた俺たちなんすか?俺は営業2課だ。花形の1課に優秀な人材がたくさんいる。
それに俺以外のメンバーも・・・見渡してみたら総務だの経理だの秘書だの・・・
プロジェクトに無縁な部署の人間ばかりじゃないすか・・・」
「ウチの人事部が無能なせいで、君たちの才能が生かしきれていない・・・私はそう考えている。
プロジェクト発足と同時に、君たちにはプロジェクトに見合った部署へ異動してもらうことになる。」
「ちょっと待ってください〜っ!さっき来年1月スタートって言いましたよね?
今年あと何日かで終わりじゃないですかっ。そんな急に異動だなんてっ・・・」

今度は酒井が安岡の言葉に食らいつく。

「急で申し訳ないね。通常はそれぞれ必要な部署から人材をピックアップするわけだが、それでは意味がない。
だってそうだろう?特別にプロジェクトを立ち上げるということは、現在それらの部署に優秀な人材がいないということだ。
仮に、すでに今優秀な人材がいたとすれば、ヒット商品も生まれていただろうし、こんなプロジェクトを作る必要なんてなかったはずだ。
違うか?」
「んまぁ、たしかにそうですが〜・・・」
「酒井さん。」
「はっ、はいっ!」
「あなたは来年から営業1課です。」
「は?!い、今何とおっしゃいました?!」
「営業1課です。あなたの話術はきっと武器になります。」
「お、俺が、営業?!よりによって、営業1課だなんて・・・そんな無茶だっ・・・」
「・・・北山さん。」
「はい。」
「あなたは広報部です。あなたのその社交的な性格・・・経理に置いておくのはもったいない。
ウチの人事部は発想が貧相だから『数字に強い』、イコール『経理』という頭しかない。経理は経理ソフトにまかせておけばいい。」
「わかりました。」
「黒沢さん。」
「はいはい!何でしょう?」
「あなたは企画開発部に行ってください。あなたの発想力・想像力は秘書には必要ありません。」
「へぇ〜、企画開発部かぁ〜♪」
「最後に、村上さん。」
「・・・はい・・・」
「あなたは営業1課、課長をお願いします。」
「ぶっ・・・!1課?しかも課長?!1課と2課って犬猿の仲なんすよ?
俺が1課の課長になったら、誰も俺の言うことなんて聞きませんって!」
「あなたの統率力、それが今の営業部には必要です。
最初は反発も起こるでしょうが、最後にはきっと皆あなたについてきてくれるはずです。」
「俺に統率力なんてあるのかよ・・・」
「あなたも、そして他の人間も気づいていないだけです。」
「はぁ・・・そんなもんすかね・・・」


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