←BACK


同日。夕暮れ時の会議室。

「ったく・・・専務直々(じきじき)に呼び出しとはどういうこったよ・・・」
がちゃ。
「失礼しま〜・・・ってあれ?村上?お疲れ〜。」
「おぉ黒沢か。お前も呼ばれてんのか。」
「うん。そうなんだよね。何があるんだろうね。リストラ?」
「そらお前だけだ。」
「ひどっ!」

こんこん。

「失礼します。」

がちゃ。

「げ、北山・・・!」
「何?北山がどうかしたの?」
「俺の天敵・・・こいつさ、先週、出張ん時の特急料金を経費で落としてくれなかったんだよ・・・」
「それは村上さんが遅刻しかけて慌てて特急に飛び乗ったからでしょう?
あそこまでなら通常、特急も快速も、駅数と所要時間は変わらないんです。
そのような場合、特急料金の出納はできません。会社規則にもちゃんと載ってます。」
「あ〜あ〜、規則規則規則規則ってうるさいヤツだな!」

こん、こん。がちゃ。

「失礼しま〜す。」
「げっ、酒井まで?!」
「何?酒井がどうかしたの?」
「俺の天敵パート2・・・こいつさ、部内ミーティングした後、ちょっと会議室片付け忘れただけで10分以上も説教しやがって・・・」
「んなもん当たり前でしょうがっ!営業部はいつもそうだ!いい加減な仕事ばかりして!」
「あ、思い出した!そうだよ!酒井の説教聞いてて遅くなって出張遅刻しかけたんだよ!
お前のせいでなぁ、特急料金 経費で落ちなかったんだぞ?!」
「規則は規則ですから。」
「あ、今日近所のスーパー、牛肉特価だった。今夜はビーフカレーだな。」

こんこん。
がちゃ。

「お疲れさまです。」

最後に会議室に入ってきたのは、専務の安岡であった。
4人を呼び出した張本人である。

「お、お疲れさまです・・・」
「安岡専務〜っ♪」

村上・酒井・北山が緊張した面持ちで襟を正すなか、いつも安岡と同室で仕事をしている秘書黒沢だけはうれしそうに手を振っている。

「では席についてください。」

議長席に安岡が座ると、4人も指示に従い着席する。


→NEXT

→コメディTOP