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ここはミニシアターの事務所。

村上が目で合図を送り、安岡が再生ボタンを押した。
モニターに、5人が作ったマナームービーが流れる。

今回の仕事の依頼者であるミニシアターのオーナーがモニターを見つめる。
5人はそれを固唾を飲んで見守った。

最後のナレーションが終わり、画面が黒くなる。
安岡が停止ボタンを押し、映像を止めた。

「こ、こんなカンジに仕上がったんですが・・・」

村上がオーナーの顔色を窺う。

「・・・うん、いいね。来月から使わせてもらいますよ。」
「ホントですか?!」
「ありがとうございます!」

5人はオーナーのGOサインに喜びを露わにし、オーナーに向かってペコペコとアタマを下げた。

「予想どおり、いや、予想以上の出来だ。君たちを見込んだ甲斐があったよ。
また公演に寄せてもらいますよ。稽古、大変でしょうけど、頑張ってください。」

オーナーの励ましのコトバに改めて感謝の意を伝え、5人は事務所を後にした。

「さて!これで大仕事ひとつ片づいたことだし、公演に向けてカンペキに仕上げていくぞ!」

村上のコトバに4人が「お〜っ!!」と拳を突き上げる。

「・・・っと、その前に、今日はビルの階段掃除の日だよ。」
「あ、そうだった!さすが北山、よく覚えてるねぇ〜。」
「アンタが覚えてないだけでしょ!」
「ということは・・・」

「♪いんじゃんで、ほい!」という村上のかけ声で、5人でジャンケン。

「よっしゃ!」
「うわ、負けた〜っ!!」
「じゃあ北山、安岡。掃除頼んだぞ〜。」
「え〜、ショック〜!」

ワイワイ言いながらビルへと帰る5人の顔には、演技ではない素の笑顔が浮かんでいた。

 

 

THE END

 


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