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「リク。昨日の夜、星が落ちたのを見たか?」
「星が?見たけど、それがなんだって言うんだよ?」
「あれはきっと、何かの予兆だよ。もしかしたらあの子たちだって・・・」
「バカ言うな!死んだ人間は・・・二度と元に戻らないんだ!いい加減、目を醒ませよ!」

「あの・・・!あなたたちも、落ちる星を見たんですか?!」

ぶつかり合うリクとナギに割って入ったのは、到着したばかりのソラたち一行。

「何だ、お前らは?」

ソラとキミのふたりと行動を共にすることになったトキの勘(予知?)を頼りに、3人は更に森の奥の、ある場所へとたどり着いたのだ。
そこでひとりで暮らすナギと、ナギを説得しにきたリクに出会う。

この5人が巡り合ったことで、各人の過去と思惑、そして不思議な力が交錯し、物語は大きな山場に向かって走り出していく。

「はい、ストップ〜。一旦休憩〜。」

村上の号令に、演技での緊張感が一気に解けた。
各自飲み物を取りに行き、床に座り込む。

「あ〜、疲れた〜・・・」
「あっつ〜・・・」
「安岡、しっかり水分摂れよ〜。」
「わかってる〜・・・」
「そういえば安岡、今日は1回も噛まなかったなぁ〜。」
「黒沢さんひどいな!俺だって噛まない日だっづ・・・!」
「噛んどるがな!早速噛んどるがな!」

酒井のヘタクソな関西弁の茶化しに、安岡がムッとした表情を浮かべた。

「あ、そうだ。北山。」
「何、てっちゃん。」
「トキと合流して3人で出発するシーンの後にも短めのBGM入れたいんだけど、できるか?」
「どんなカンジの曲?」
「少し重めで、荘厳なカンジ。あとはお前にまかせる。」
「わかった、作ってみるよ。」

皆、各々台本を取り出し、そのシーンにBGMがつくことを書き込んだ。

「で、酒井の方は、舞台装置、固まってきたか?」
「ええ、だいたいは。森の中のシーンは影を使って周りの木々の雰囲気を作ろうかと思ってるんです。それと・・・」
「それと?」
「これは俺が勝手に考えた案なんですがね、森のシーンで森っぽ〜い香りを出すってのはどうでしょうね?」

酒井の意見に安岡が「あ、それいいじゃん!」と同意する。

「うん、それおもしろそうだなぁ。それならさ、駅前のショッピングセンターの中のオーガニック専門店にアロマオイル売ってたの見たよ。
アロマポットと合わせて買ってもそんなに高くなんないはず。」
「んじゃあ黒沢、それ買ってきてくれ。」
「おっけ〜。」
「じゃあ練習再開!第1幕からの流れをもう1回確認したいから、アタマからな。」
「お〜ぅ。」

5人が立ち上がりスタンバイを開始したその時、練習スペースの背後にある事務机の上の電話が鳴った。


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