『みなさん!大丈夫ですかっ?!』
ブラックが客席に問いかけると、大きな拍手が巻き起こった。
『世界に平和が訪れるまでボクたちは闘い続ける!』
ホワイトがガッツポーズを決めて叫ぶ。
『地球に平和を!激闘戦隊、アトラスっ!!』
レッドのかけ声で全員で決めポーズ。
『激闘戦隊アトラスは、地球の平和を守るため今日も闘っているのである!』
ナレーションが流れ、エンディングテーマとともにアトラスは手を振りながら颯爽と去っていった。
いやぁ、ベタな話なのに、つい見入っちゃったよ。
「こら、あらっ太くん、サボりすぎじゃないか?」
後ろから声をかけられ、ビクッとして振り返る。
なかよし広場のすぐ横にある観覧車乗り場のおじさんだ。
(すいませ〜ん、おもしろくてつい見入っちゃってました・・・)
項垂れてアタマをポリポリ掻くと、おじさんは人のよさそうな笑顔を浮かべて、肩をポンポンと叩いた。
「あらっ太くんも闘いたいかい?平和のために!」
(はい!ああいうのもいいですよね!)
うんうんと元気に頷いて、顔の前で両手を組み瞬きひとつ。
「ははは!それはそれでおもしろそうだな。・・・さて、おじさんは今からお昼ごはんを食べてくるよ。
あらっ太くんも、おなか空いてるんじゃないのかい?」
おじさんはそう言って、俺の休憩時間が来たことを教えてくれた。
(はい、もうおなかペコペコです〜・・・)
右手の人差し指を口にくわえるようにして、おなかを左手で擦ってハラペコのポーズ。
おじさんにバイバイと手を振って、バックヤードに向かった。