「あっ、そうだ!北山、いい考えがあるぞ!」
酒井がポンと手を打って立ち上がった。
「何?雄二。」
「アトラスとあらっ太くん、まさかの競演!どうだ、この案!おもしろそうだろう!」
「競演?」
「そうだ。俺たちもいつも同じ台本ばかりだし、たまには気分転換を兼ねてな。どうだろうか。」
「競演か・・・おもしろそうだね。アトラスとももうすぐお別れだし、アトラスに思い出を作ってあげるのもいいかもしれないね。
・・・てっちゃん、どうかな、雄二の案。おもしろそうだと思うんだけど。」
「俺も!やりたい!」
酒井の案に、北山だけじゃなく安岡も賛同する。
「あらっ太くんさんは?」
「俺も、やりたい。せっかくみんなと出会ったんだ、何か一緒にできたらうれしいよ。」
「村上さんは?」
「俺か?うん、悪かないな。けど、俺たちが勝手に考えて勝手にやるワケにはいかない。
思いつきで演じて、アトラスのキャラを壊してしまうと、契約上問題があるからな。
それに俺たちの声はどうする?声優さんもそれぞれのスケジュールがあるし、やってくれねぇだろうな。」
「じゃあどうすれば・・・」
「関係者に先に企画内容や台本のチェックをしてもらって許可を得ないといけないな。
声の方は、しゃべるのなしでアクションのみにする他ねぇな。クリスマスまで日がないから準備が大変だぞ?」
「台本、書くよ。速攻で仕上げるから。」
まかせといて、と北山は胸を叩いてみせた。
「あとはスケジュールの問題だな。」
「スケジュール・・・」
「ここにアトラスとして来る予定ってあったっけ?」
「あ、ちょっと待って!俺、携帯のスケジュールに全部入れてあるから!」
安岡がロッカーまで走り、携帯を持って戻ってきた。
「え〜っと、この遊園地での仕事はぁ〜・・・あ、あった!12月、25日、土曜日!この日だけだ!」
「25日、クリスマスか!これはめでたいじゃないか!」
酒井が感嘆の声を上げる。
クリスマスってめでたいんだったっけ?
まぁいいや。
「よし、決まりだ決まり!25日に向けて、各自頑張るとするか!」
村上のかけ声をキッカケに、俺たちは「お〜っ!」と拳を突き上げ、気合いを入れた。