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「なぁ〜んか、3人とも張り切ってんなぁ・・・」
「あ、ありえん・・・中年男5人が羽 背負(しょ)ってる衣装って・・・メルヘンじゃなくてホラーだ、ホラー・・・」

村上は衣装の手直しを始める3人を呆れたように見つめ、酒井は頭を抱え大いに苦悩している。

はいはい、そんなんどうでもいいから!ほら、穴空いたからお前らも早く着ろ〜!」
黒沢が、村上と酒井に切れ目入りの衣装を押しつけた。

他の3人はすでにスタンバイOK。
安岡にいたっては鼻歌など口ずさんでいて、さっきまでの戸惑いがウソのようだ。

「俺らも着るか・・・」
「仕方ないですねぇ・・・」

村上と酒井も、渋々着替えにかかる。

「・・・できたぞ?」
「はいはい、これでいいんですかね?」
「うん、ふたりとも意外と似合ってるよ。」

北山が誉めると、ふたりは照れたような苦笑いを浮かべた。

「あ〜・・・消えたい・・・この年でこんなカッコで人前に出るとは・・・」
「んもぅ、酒井さんホンっト、『TOO SHY SHY BOY』なんだから!」
「誰が
TOO SHY SHY BOY』だ!誰が観月ありさだ!え!?」
「はいはい、そろそろ撮影開始だよ。行くよ、
TOO SHY SHY BOY』。」
「だからそれで俺を呼ぶなぁっ!」

 

スタッフの反応を窺いながら、5人は身を寄せ合ってスタジオ入りした。

「お待たせしました〜・・・」

その声に一斉に振り返ったスタッフは、5人の姿にどよめきの声を上げる。

「こ、今回はまたすごい衣装ですね・・・」
「え、えぇ、まぁ、ね・・・」

村上が引きつった笑顔でなんとかごまかす。

「すごぉ〜い!羽、触ってみてもいいですか?!」
出版社の女性記者が興奮気味に駆け寄ってきた。

「えぇ、もちろん。」
「うわぁ〜!リアルな肌ざわり〜!!ふわっふわ〜☆」

たまたま一番近くにいた酒井の翼を撫でまわし、頬ずりまでしている。
これには酒井もたまらず身を硬くする。

「硬い硬い!ヘンな反応すっとニセモンじゃないってバレちまうぞ?」

横にいた村上に小声で注意され、酒井は「そうは言ったってだな!」と声を上げる。

「あっ、すいません!ワタシったら、つい・・・」
「あっ、いやいや!あの〜、こちらこそすいませんっ!今のはこっちの話です、えぇ・・・」

しどろもどろ、何とか弁解をする酒井を見て、4人は他人事とばかりにクスクスと笑っている。
4人の笑い声に一瞬イラッとした酒井だが、これ以上余計なことを言うと自らの首を絞めることになってしまう。
酒井は顔を真っ赤にして4人を睨みつけた。


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