「いっ!いででっ!・・・あ〜・・・この辺に和装を扱ってる店が全くなくてですねぇ・・・
代わりになるモノないかな〜ってことで薬局で包帯を大量購入して帰ってたんですよ・・・
そしたら途中で背中の羽がものすご〜く痛くなっちゃってね、慌てて帰ってきたんすよ・・・」
苦しみながら服を脱ごうとする酒井を皆で手伝ってやり、サラシを外していく。
その下から白い翼が姿を現す。
窮屈な状態にあった翼は、解放されて気持ちよさそうに広がっていく。
翼は、ここに到着して見せ合った時よりも倍以上に大きくなっていた。
前から見ても肩のつけ根のあたりから翼の先端が見えるほどに成長している。
「・・・もしかして俺らも?!」
安岡のコトバに、他の3人も一斉に自らの背中を顧みる。
各自ゆったりめの服を着てきたこともあって、気づくのが遅れた。
そのふくらみが確実に成長をしているのは、目にも明らかだ。
「これは・・・包帯やサラシなんかじゃ、もう収まりきらんぞ・・・」
「どうする・・・?」
皆で顔を見合わせるが、そう簡単に答えは見つかるものではない。
「・・・おし、酒井でいい。取れないかどうか、試しに俺の羽、引っ張ってくれ。」
「えぇっ?!な、何言ってるんだ!締めつけただけでもあんなに痛いのに、そりゃムチャでしょ!」
「構わねぇから。ナニゴトもやってみなきゃわかんねぇだろ。」
真剣な表情でシャツを脱ぐ村上に、酒井は観念した。
「・・・んもぅ、ホント、知りませんからね?」
村上の背中から伸びた翼を恐る恐る掴んだ酒井は、グッとチカラを込め引っ張った。
「ぐぉぁあっ!ど、どうだ!」
「うぁああああ〜っ!!!」
村上の絶叫が控え室に響き渡り、酒井は慌てて手を離した。
「・・・い、いひゃい・・・いひゃいよぉぅ・・・」
村上はヒザから崩れ落ちるようにぶっ倒れてしまった。
「あ、村上、ノビた・・・」
「ほら、言わんこっちゃない・・・だからやりたくなかったんだ俺は・・・」
「ちょっと畳の間で横になったら?」
北山が村上のカラダを支え、畳の上まで連れて行く。
「しゅ、しゅまん、きた〜ま・・・」
「その話し方何なの?!」
「らって、ちからが、はいんねぇんらもんよぉ〜・・・」
「顔が濡れたアンパンマンじゃないんだから!」
はぁ、と漏らした5人のため息がハモる。