「おはよ〜。みんなして何やってんの?」
「あ、黒沢。」
最後に到着した黒沢を見て、ニヤニヤする4人。
「黒ぽん、先に入ってくださいよ。」
「俺ぇ?なんで?なんで俺なの?なんでみんな楽屋入んないの?」
「いいからいいから!」
「何だよ、も〜・・・」
何かあるな、と思いつつ、黒沢は仕方なしに楽屋のドアを開けた。
「あれ?何これ〜?」
黒沢は、楽屋の様子に驚きながらも中にズンズン入っていく。
「おい、電脳組。一応、中に隠しカメラねぇか探せ。」
村上は酒井と北山に指示を出し、黒沢の後をついて入った。
酒井・北山・安岡も続いて楽屋に入る。
楽屋の中央に置かれた大きなテーブルにはコント用のカツラ、ハンガーラックにはコント用の衣装が多数置かれている。
「今、俺と雄二で見た限りでは、隠しカメラはないみたい。」
北山が村上に報告した。
「へぇ〜。すごいね、これ〜。」
4人のドキドキ感をよそに、黒沢は端から順番にカツラを手にとっている。
「あ、これ、バカ殿だ。」
と言って、何の躊躇いもなくバカ殿のカツラをかぶった。
「ぶーーーーーっ!」
ちょうど鏡に向かって座り缶コーヒーを飲んでいた酒井は、鏡の中でバカ殿のカツラをかぶる男の姿にコーヒーを吹き出した。
「あ、あんた何やってんだ!ったく!」
酒井は据え置きのティッシュでコーヒーがかかった鏡を拭きながら黒沢に怒鳴った。
「え〜。だってこんなのかぶれる機会ないよ〜?滅多とないチャンスだよ〜?」
「・・・・・・た、たしかに・・・言われてみれば・・・」
「だろ〜?」
バカ殿のカツラをかぶったまま満面の笑みで答える黒沢。
楽屋は不思議な沈黙が続く。
「よし、決めた!・・・俺もかぶるぞ、ヅラ!」
「さすが酒井〜!」
酒井もカツラを物色し始め、パンチパーマのカツラをかぶった。