「おはよ。・・・あれ?楽屋の外で、ふたりとも何やってんの?中入らないの?」
ドアの前で躊躇っている酒井と安岡に声をかけたのは北山だった。
「おお!北山!!いいところに来た!」
「いいところ・・・?何それ。」
「い、いいから!早く開けてみてよ〜、ドア!」
「んもう・・・わかったよ。」
北山は楽屋のドアを開けた。
ガチャ・・・バタン。
北山も中の様子を見ただけですぐにドアを閉めた。
「これさぁ・・・」
冷静な様子のまま振り返り、口を開く北山。
「何?」「何だ?」
「・・・ドッキリなんじゃないの?」
「えっ、どっ、ドッキリだとぉ!?」
「楽屋のどっかに、カメラあるんじゃない?」
「ウチの事務所、ドッキリみたいな仕事、受けてくるかなぁ〜?」
「そうか・・・俺たち“ドッキリ慣れ”してないから、逆にドッキリに“打って付け”だということか。
リアクション芸人じゃない俺たちみたいなのが“ドッキリ慣れ”してしまったら、うまいリアクションとれないだろうしなぁ。」
「う〜ん・・・」
「お前ら、何やってんだよ、んなとこで。」
「りっ、リーダー!いいところに!」
村上の登場に、酒井が叫ぶ。
「この状況、どう思います?さ、ほら、早くドア開けてくださいよ!」
「何だよ、意味わかんねぇんだけど。」
「リーダーの決定に従いますから!そのためのリーダーでしょうに!」
「はぁ?・・・酒井、ちょっと落ち着け。」
「テツ、どうでもいいから早くドア開けてよ!開ければわかるから!」
安岡にも嗾(けしか)けられ、村上は渋々ドアノブを捻った。
ガチャ。
「んだよ、開けろ開けろってうる・・・」
バタン。
村上もすぐにドアを閉めた。
「は・・・?何だあれ?」
「てっちゃん、コレさ、ドッキリなんじゃないかなと思うんだけど。」
「は?ドッキリ?!」
「ほら、もしドッキリだったとしたらさ、楽屋入ってすぐそれなりのリアクションとらなきゃいけないでしょ?」
北山と安岡に言われ、村上は3人が楽屋に入るのを躊躇していたワケを理解した。
「ウチの事務所は基本的にドッキリの仕事は受けないはずだぜ?だからドッキリではないはずだぞ?」
「ホント?!・・・よかったぁ!さすがテツ。やっぱりテツがいないと話が進まないよね〜。」
「じゃあ楽屋に入ってリアクションとる必要はないワケね?
リアクションとらなくてスタッフに『番組の企画がパーになりました』なんて怒られることもないワケね?」
「ああ。」