君でなければ開かない扉

 

 

テレビ局にて歌の収録。

今日の楽屋一番乗りは安岡だった。

ガチャ。

「おはようございま〜・・・・・・えぇっ!?」

バタン。

楽屋の異様な光景に、安岡は中に入る手前で慌てて楽屋のドアを閉めた。

「い、今の・・・何・・・?」

もう一度、ドアに貼られた紙を確認する。

『ゴスペラーズ様』と書かれている。
間違いなくここが自分たちの楽屋のようだ。

「ココで合ってる、よね・・・?」
そんなひとりごとを言いながら、恐る恐るもう一度ドアノブに手を伸ばす。

「安岡。お前何やってるんだ?」
「ひぃぃぃっ!」

いきなり後ろから声をかけられ、飛び上がる安岡。

「何をそんな驚いてるんだ?」
「な、な、なんだ酒井さんかぁ〜・・・」
「なんだとは何だ!?声でわかるだろうが、普通。」
「そんなことどうでもいいからさ、酒井さん、このドア開けて〜・・・」
「は?何でだ?」
「何でもいいから早く早く!」
「うむ・・・開ければいいんだろ、開ければ・・・」

安岡に促され、酒井は楽屋のドアノブを捻った。

ガチャ。

「・・・・・・な、なんぢゃこりゃぁ〜!!」
「ね?ね?おかしいでしょ、これ・・・」

バタン。

酒井も楽屋に入る前にドアを閉めた。

「今日って歌の仕事・・・だよ、な?」
「そう、だよ・・・?」
「もしかして昔みたいに・・・」


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