「や、ちょ、お前ら・・・」
村上が慌てて止めに入る。
が。
「はい、村上はこれ!」
黒沢にアフロのカツラを乗せられた。
「ぷぷーーーっ!スキマスイッチみたい!」
安岡がアフロの村上を見て爆笑する。
「んだよ、テメェ!」
村上が目の前にあったスポーツ刈りのカツラ手に取り、安岡にかぶせた。
「な・・・!!?」
自分がどういう状態であるか確認するために鏡の方を向いた安岡は、呆然と立ち尽くしている。
それを見て笑って床に崩れ落ちる北山の頭に、酒井が10円ハゲのある少年のカツラを乗っけた。
「はははは!北山!意外と似合ってるよ〜!」
暢気に笑うバカ殿黒沢。
「ちょっとテツ!人の頭に勝手にヅラ乗せないでよ!」
「嫌ならすぐ外せばいいだろうに。安岡、意外と気に入ったんではないのか?」
「んなワケ・・・!」
「あ、これ衣装もあるじゃん。着てみようかな〜、せっかくの機会だし。」
「こら黒沢!勝手に着んなって言ってんだろうがっ!」
「俺も着ようかな〜。」
「さすが酒井!一緒に着ようよ着ようよ!」
4人の様子を見て、10円ハゲのまま大爆笑の北山。
そんな北山にスポーツ刈りのまま忍び寄り、北山の鼻の下に素早く青っ洟を描く安岡。
意気揚々とバカ殿の衣装に袖を通す黒沢。
衣装物色中のパンチパーマ酒井。
アフロをかぶったまま携帯を取り出し、撮影しまくる村上。
「おい、安岡!スポーツ刈りはもういいから、他のやついけ!」
「んもう、しょうがないなぁ〜♪ そういうテツこそ、違うのに変えたら?」
「お〜い、北山ぁ。そんなとこで笑ってないでさ、何か着替えたら?」
「黒ぽん見てくださいよ、この衣装!サイズもバッチリでしたよ!」
「っははっ!・・・雄二・・・その衣装、ヅラと合ってないから・・・!はははっ!」
時間を忘れ、どっぷりとカツラとコント衣装にのめり込む5人。
ガチャ!
「すいませんゴスペラーズさん!間違って衣装を運んでしま・・・」「あ。」
スタッフは5人の変貌ぶりに目を白黒させた。
スタッフ到着時のメンバーの格好は・・・
村上→ブロンズのチリチリロン毛でボン・ジョヴィ熱唱。昔のジョン・ボン・ジョヴィ風。ロック風衣装を探していた最中だったため、バレエの白タイツとチュチュのまま。
黒沢→完璧にバカ殿完成。ちゃんと足袋まで履いている。結局最後まで他の者に一度も譲らず。メイクは酒井が買って出た。終始ご機嫌。
酒井→ちびまる子ちゃん風のオカッパ頭に野球のユニフォーム。これから五分刈りのカツラに変えてキャップをかぶり、ハンカチ王子になりたかったらしい。
北山→4人の変装に笑うのに忙しく一番中途半端。10円ハゲと青っ洟のまま、衣装は何故か村上に押しつけられた金ラメのジャケット。下は私服のズボン。
安岡→黒沢のバカ殿に乗っかり、腰元(侍女)の扮装。紫と白の矢絣(やがすり)の着物に女モノの髷のカツラ。ちょうど黒沢に帯をグルグル解かれて「あーれー」と叫んでいた。
「・・・すいません・・・今から・・・脱ぎますんで・・・」
「・・・こ、こちらこそすいません・・・お願い、します・・・」
気まずい雰囲気の中で衣装を脱ぎ、スタッフに返す5人であった。
完。