「みんな取ったか〜?」
「おっけ〜!」
「どれが誰のかわかるようにシルシ書いときましょう!」
「それいい!」
短冊を書くのに使ったマジックで自作の『ボート』に、各自シルシをつける。
村上は笹舟にサングラスを描き加えた。
黒沢は「K2」、酒井は「Suica」、北山は「必勝」と書き、安岡は笹舟の漕ぎ手をうまく描いてみせた。
「じゃ、外 行くか!」
「よっしゃ!」
「何だか今日いけそうな気がする〜♪」
「あると思います!」
「何その流れ。っていうかそのネタもう古いし。」
口々に何やら話しながら、コンサート会場の関係者出入口より用水路を目指す。
「おぉ、笹舟レースにはなかなかいいロケーションじゃないか!・・・あ、そうだ、カメラ持ってくる。これは写しとかないと!」
酒井は笹舟を黒沢に託し、興奮気味に楽屋へと走っていった。
「ちょっ、なんだよ酒井!・・・くっそ〜、早く食いたいのに・・・黒沢、その舟、破っちまえ!」
「えぇっ?!それ、スポーツマンシップにのっとってないよ〜!」
「笹舟ってスポーツ・・・?」
「それとも笹舟だけに『シップ』・・・?」
「そこは深く考えるとこじゃねぇだろ。」
「おまたせしましたぁ〜!」
酒井がカメラを首からぶら下げ、用水路や周りの景色を撮影しながら戻ってきた。
「おい、早くしろよ!」
「いやはや待たせてすんませんでしたね。」
ヘラヘラと笑う酒井に、黒沢が「ほい。」と言って舟を返した。
「で、どこスタートで、どこゴール?」
「じゃあ、そこの橋の上からスタート。ゴールはあの向こうの販売機のとこ。」
「わかった!」