【おまけ】
その翌日、2等・3等の「賞品受け渡し(別名:罰ゲーム執行)」が行なわれた。
≪3等賞編≫
北山が控え室前の廊下を通ると、怪しげな人物が。
「ねぇねぇ!そこのお兄さん!靴磨いていかない?」
「うわ、出た!」
北山が大声を出すのも無理はない。
黒沢はキャスケットを後向きにかぶり、チェックのシャツを肘まで腕まくりし、オーバーオールを穿いて、箱馬に座っていた。
頬はご丁寧にも靴墨でスッと汚れた跡がある。
「・・・演出込み?」
「演出ってなぁに?・・・はい、お兄さん!ここ座って!」
黒沢はそう言って、目の前にある箱馬を手で指し示した。
「はぁ。」
このシチュエーションで放置するわけにもいかず、北山は箱馬に腰掛けた。
黒沢はすでにライブで使用している北山の靴を手に持ち、磨いている。
「こっちはピカピカになったよ〜。」
黒沢はライブ用の靴を脇に置き、北山の靴を磨き出した。
「♪靴を磨く〜」
黒沢は鼻歌交じりに磨いている。
その鼻歌は徐々にボリュームが上がり、ついには熱唱にまで発展した。
村上・酒井・安岡は控え室のドアを細く開け、その様子を見つめていた。
「なんかすごいことになってんな・・・」
「靴磨きの少年はイキイキしてるけど、客はめちゃくちゃ恥ずかしそうな顔してるな・・・」
「もう少しあのままにしとこうよ。」
「そうだな・・・」
控え室のドアは静かに閉められた。